この記事では、2028年から段階的に実施される「遺族厚生年金の制度改正」について、初心者の方にも分かりやすく解説します。特に子どものいない夫婦にとっては、今後のライフプランを大きく見直す必要があるほどの重大な変更です。
遺族年金制度のこれまでと現在の仕組み
これまでの遺族厚生年金制度は、「男性が働き、女性が家庭を守る」ことを前提に設計されていました。
- 夫が死亡し、妻が30歳未満の場合：5年間だけ遺族厚生年金を支給
- 妻が30歳以上の場合：生涯にわたって支給
- 妻が40〜65歳の間は中高齢加算（年約62万円）も支給
- 子どもがいる場合は別途「遺族基礎年金」も加算
一方で、男性が妻を亡くした場合は、55歳未満では支給なし、55歳以上なら60歳から支給という不平等な構造でした。
2028年からの改正内容とは？男女平等の名のもとに変わること
新制度では男女の差をなくすことを目的に、次のような変更が行われます。
- 年齢に関係なく、支給は「5年間のみ」に限定
- 中高齢加算（年間62万円）は廃止
- 支給開始年齢の男女差も撤廃
これにより、女性にとっては「生涯もらえるはずだった年金」が「たった5年間」に短縮されるケースが増加。生涯で約2,000万円もの支給額の差が出る可能性があります。
移行期間は20〜25年、誰に影響があるのか？
急激な制度変更による混乱を避けるため、完全移行は2048年頃を予定。年齢による影響範囲は以下の通りです。
- 女性：現在37歳未満の人が対象
- 男性：現在52歳未満の人が対象
段階的に支給期間が短縮されていき、最終的には新制度に統一される見込みです。
負担軽減措置もあるが…
政府は以下の3つの軽減措置を発表しています。
- 収入制限の撤廃（年収850万円以上でも受給可能に）
- 死亡時に年金額の100％支給（従来は3/4）
- 将来の老齢厚生年金額の増額措置
しかし、これらの措置が「5年間限定の支給」という大幅な支給期間短縮を補えるかどうかは疑問視されています。
FAQ
Q1: この制度改正で全員が影響を受けますか？
A1: 子どもがいない夫婦が対象です。子どもがいる家庭は遺族基礎年金の対象となるため、大きな変更はありません。
Q2: 既に遺族年金を受給している人には影響ありますか？
A2: すでに受給している方には基本的に影響はありません。
Q3: この法改正はいつから始まりますか？
A3: 2028年4月から段階的に実施され、2048年頃に完全移行が完了する予定です。
まとめ
2028年から段階的に始まる遺族年金の制度改正は、特に専業主婦やこれから結婚を考えている女性にとって、生活設計に大きな影響を与えるものです。「男女平等」という理念のもとに進められる制度改革ですが、家庭の事情や収入の状況により、その影響はさまざまです。今後の生活設計や保険の見直しなど、早めの対策が求められます。
