厚生年金の負担増が決定的に? 年金制度の実態と将来への影響を解説

年金の負担増に不安を感じる様子 政治・経済学

2027年9月から、厚生年金の上限額引き上げが予定されています。この改定により、高所得者層の負担が増えることになりますが、果たして本当に「高所得者」だけの問題なのか? 実は、中間層にも影響が及ぶ可能性があり、年金制度そのものの持続性が改めて問われています。

本記事では、この厚生年金の負担増がどのような影響を及ぼすのか、そして年金制度が「実質的に破綻している」と言われる理由について解説していきます。

厚生年金の上限引き上げとは?

現在、厚生年金の保険料には上限があり、月収63万5000円以上の人は、一律5万19475円を納めています。しかし、この上限を75万円に引き上げる案が議論されており、これにより高所得者層の負担が増加することになります。

具体的な負担増額

  • 月収63万5000円超の人月9000円の負担増
  • 月収75万円超の人最大で年間約11万円の負担増
  • 将来的に月収98万円超の人まで引き上げる案も検討中最大で月3万1000円増

この改定により、高所得者の負担が増えるだけでなく、企業の負担も増加するため、中小企業経営者への影響も無視できません。

なぜ厚生年金の上限が引き上げられるのか?

年金制度は、現役世代が支払う保険料を高齢者の年金として給付する「賦課方式」で運用されています。しかし、少子高齢化により支え手が減少し、受給者が増加する中で、現行の制度では維持が困難になっています。

そのため、政府は次のような対策を進めてきました。

  1. 保険料率の引き上げ(過去40年間で約2倍)
  2. 年金支給開始年齢の引き上げ(65歳→将来的に70歳も検討)
  3. 社会保険加入対象者の拡大(パート労働者の強制加入など)
  4. 高所得者層へのさらなる負担増(今回の厚生年金上限引き上げ)

つまり、年金制度は既に破綻しており、延命措置を繰り返しているだけという指摘もあります。

厚生年金の負担増に見合うリターンは?

政府は「負担が増える分、将来もらえる年金も増える」と説明しています。しかし、その実態を見てみると、リターンは決して大きくないことが分かります。

例えば、月9000円負担増になった場合、10年間支払っても年金増額は月5000円程度です。
つまり、元を取るためには20年以上年金を受給し続ける必要があるのです。

  • 65歳から受給開始 → 85歳以上生きないと元が取れない
  • 会社負担分を含めると、105歳まで生きないと完全に元が取れない

これを考えると、厚生年金の負担増は単なる「増税」と変わらないと感じる人も多いでしょう。

年金制度は実質破綻している?

専門家の中には「年金制度は破綻していない」と主張する人もいます。しかし、その理由は「負担を増やせば制度は維持できる」というものです。

しかし、過去40年間で保険料率は約2倍に増加し、今後も支給年齢の引き上げや負担増が続けば、現役世代の負担が限界に達するのは明らかです。

  • 年金保険料は1980年代には約10%だったが、現在は18.3%
  • 支給開始年齢は60歳→65歳→70歳(今後75歳の可能性も?)
  • パートや派遣社員にも社会保険加入を義務付け、支え手を無理やり増加
  • 「高所得者への負担増」は結局、中間層にも影響が及ぶ

これでは、「破綻していない」と言われても説得力がありません。

これからの世代はどうすればいい?

現在の年金制度が持続不可能であることを前提に、個人で老後資金を準備することが必須になっています。国もこれを認める形で、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などを推奨しています。

今からできる対策

  1. iDeCoの活用 → 自分で年金を積み立てる
  2. NISAで資産運用 → 少額でも投資を始める
  3. 副業・事業所得を増やす → 社会保険の影響を抑える
  4. 節税対策を考える → 税負担を最適化する

特に、会社員として年金保険料を払い続けるだけでは、将来的に厳しい状況に置かれる可能性が高いため、自分自身で対策を講じることが求められます。

まとめ

  • 厚生年金の上限額引き上げで高所得者の負担が増加
  • しかし、実質的には中間層にも影響が及ぶ可能性が高い
  • 年金制度は既に破綻しており、延命措置が繰り返されている
  • 負担増に対してリターンは少なく、個人で老後資金を準備する必要がある

政府の財政問題は深刻化しており、今後さらに厳しい社会保険制度の改定が行われる可能性があります。「将来年金がもらえるから」と楽観視するのではなく、自ら資産運用を考える時代が来ています。

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