この記事では、翻訳家・環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが語る「ネガティブ・ケイパビリティ」について、初心者にもわかりやすく解説します。ビジネスや人生で悩んでいる方にこそ知ってほしい「答えを急がない力」とは何かを掘り下げていきます。
ネガティブ・ケイパビリティとは?混乱や葛藤を抱えながらも耐える力
「ネガティブ・ケイパビリティ(Negative Capability)」とは、イギリスの詩人ジョン・キーツが生み出した概念で、「答えの出ない状況や曖昧さ、不確実さに耐える力」のことを指します。
枝廣さんはこの力を、現代の複雑な社会やビジネス、そして人間関係においてとても重要な能力だと語っています。
- 急いで答えを出すのではなく、「わからない状態」に耐える
- 混乱している相手と一緒に沈黙の中で過ごすことも大切
- 焦って対症療法を繰り返すのではなく、問題の根本を考える力
このように、ネガティブ・ケイパビリティは、すぐに「白黒つけたい」現代人にとって、忘れられがちな大切な姿勢です。
カウンセリングとネガティブ・ケイパビリティの関係
枝廣さんは元々カウンセラーを志しており、来談者中心療法(ロジャース派)を学んでいました。このカウンセリングでは、「答えは相手の中にある」と信じ、話す力・聞く力を重視します。
「1時間の沈黙」にも価値がある
ストレスで混乱している相手に対しては、すぐにアドバイスを与えるのではなく、ただ静かに寄り添う時間が大切です。
- 相手と同じ感情の場所に「とどまる」
- 答えを急がず、一緒に模索する
- 話しながら自分の考えを整理できるようになる
これこそが、ネガティブ・ケイパビリティを活かした「本質的な支援」です。
システム思考と氷山モデルの活用
枝廣さんは「ネガティブ・ケイパビリティ」を実践するために、「システム思考」の重要性も強調しています。特に「氷山モデル」は、問題を表面的に見るのではなく、背景にある構造やパターンを理解するための思考法です。
氷山モデルとは?
- 見えている部分:目の前の出来事(売上の減少など)
- 水面下の部分:長期的なパターン、構造、価値観
たとえば「先月売上が下がった」だけに反応するのではなく、その背後にある長期的な傾向や、組織の構造を見ていくことで、根本的な解決策を見出すことができます。
枝廣淳子さんがネガティブ・ケイパビリティに惹かれた理由
枝廣さんはもともと通訳として活動していましたが、化石燃料業界の会議で「温暖化は嘘だ」と言う内容を通訳させられたことをきっかけに、自分の信念と仕事が一致していないことに違和感を覚えました。
その後、環境問題に本格的に取り組む道へ進みます。
- 年収は6分の1に減ったが、ストレスはなくなった
- 自分が「本当に大事だと思えること」と向き合う生き方へ
- 問題の本質を考え抜くことの価値を伝えたい
ネガティブ・ケイパビリティは、単なる「我慢」や「先延ばし」ではなく、「本質的な答えを出すためのプロセス」なのです。
FAQ
Q1: ネガティブ・ケイパビリティは優柔不断とどう違うのですか?
A1: 優柔不断は「決められない状態」ですが、ネガティブ・ケイパビリティは「すぐに決めず、じっくり本質を見極めるためにあえて耐える力」です。
Q2: ビジネスでも使える考え方ですか?
A2: はい。特に複雑な問題や長期的な課題に対して、すぐに対症療法に飛びつかず、本質を考える力として有効です。
Q3: どうすればネガティブ・ケイパビリティを身につけられますか?
A3: 日々の中で「すぐに答えを出そうとしない」「沈黙に耐える」「問題の背景を見ようとする」ことから少しずつ実践できます。
まとめ
ネガティブ・ケイパビリティとは、「すぐに答えを出さず、不確実な状況に耐える力」です。枝廣淳子さんの経験から学べるのは、「急がば回れ」の大切さと、本質を見抜くために立ち止まる勇気。
現代社会はスピードが重視される風潮がありますが、だからこそ「考え抜く力」や「つながりを見直す時間」が必要とされています。あなたも、答えを急がない時間を少しでも持ってみてはいかがでしょうか。