南海トラフ地震は日本で長年警戒されてきた巨大地震の一つですが、「南海トラフM9地震は起きない」と主張する研究が注目されています。プレート説が定説とされる中、その根拠が疑問視される一方で、新たな視点として「熱移送説」が提唱されています。本記事では、藤和彦氏(経済産業研究所主席研究員)が出演した特番の内容を元に、プレート説の問題点と熱移送説について解説します。
プレート説とは?従来の地震発生メカニズムの問題点
一般的に、地震はプレートの沈み込みによる歪みが解放されることで発生すると考えられています。特に、南海トラフではフィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込むことで、巨大地震が周期的に発生するとされています。
しかし、このプレート説には以下の問題点が指摘されています。
- プレートの総数が不明確:世界全体で何枚のプレートが存在するのか、まだ確定していない。
- フィリピン海プレートの生成場所が未発見:プレートが生まれるはずの海底山脈が見つかっていない。
- 他の惑星にプレートが存在しない:火星や金星にも地震が発生しているが、プレートの存在は確認されていない。
- 地震の発生を十分に説明できない:プレート説では、内陸部の地震(例:2008年の四川大地震)をうまく説明できない。
熱移送説とは?新たな地震発生メカニズム
プレート説に代わる理論として、地球内部の熱移動によって地震が発生する「熱移送説」が提唱されています。この説では、地球内部の熱が特定のルートを通って移動し、地下の圧力変動を引き起こすことで地震が発生すると考えます。
熱移送説のポイント
- 地球の内部から上昇する熱がプレートではなく地震を引き起こす
- 熱の流れは特定のルートを持つ(例:東アフリカ→ヨーロッパ→カリフォルニア)
- 火山活動と地震は密接に関係している(例:能登半島地震や霧島火山帯周辺の地震)
- 冷たい地殻では地震が発生しにくい
この理論に基づくと、南海トラフでのM9地震の発生確率は極めて低い可能性があると考えられます。
南海トラフ地震予測の問題点と利権構造
藤氏は、南海トラフ巨大地震の予測には利権が絡んでいる可能性を指摘しています。
- 防災予算の獲得:地震予測に基づく防災対策が巨大な公共事業となっている。
- 過剰な警戒の影響:政府の発表が経済活動に悪影響を与える(例:観光業への打撃)。
また、日本ではプレート説を前提とした地震予測が行われていますが、これは世界的に見ても珍しい方法であり、科学的根拠が十分でない可能性があります。
首都直下型地震や富士山噴火のリスクは?
熱移送説では、首都直下型地震についても新たな視点を提示しています。特に危険視されているのは、沼津から富士五湖周辺です。
- 伊豆大島の噴火周期が止まっている → 地熱の蓄積が進んでいる可能性
- 関東大震災(1923年)前後も日本各地で火山噴火が多発
一方、富士山の噴火は当面起こらない可能性が高いとされています。
- 過去の噴火でマグマの通り道が塞がれている
正しい地震予測と防災対策に必要なこと
プレート説の限界が指摘される中、より科学的なアプローチとして、以下のような対策が求められます。
- 全国に設置された4000以上の地震計を活用
- AIを用いた地震の「癖」の解析
- 地熱の測定を重視し、地下の温度変化を監視
- 縦揺れ対策を強化し、新幹線や高速道路の安全性を向上
日本では、地震研究の進展が利権構造や既存の学説によって制約される傾向がありますが、熱移送説をはじめとする新たな視点を取り入れることで、より正確な地震予測が可能になるかもしれません。
まとめ
南海トラフ巨大地震が起きると長年信じられてきましたが、その前提となるプレート説には多くの疑問点があることが指摘されています。
一方、新たな視点として「熱移送説」が提唱されており、地球内部の熱の流れによって地震が発生するというメカニズムが浮かび上がっています。この理論に基づくと、南海トラフ地震のリスクは従来の予測よりも低く、逆に首都直下型地震の可能性が再考されるべきかもしれません。
防災対策としては、単にプレート説に基づく警戒を続けるのではなく、地熱の変化や火山活動との関連性を踏まえた研究を進めることが重要です。
今後、より科学的で実証的な地震予測の実現に向けた議論が求められるでしょう。
おすすめ書籍
より詳しい内容については、藤和彦氏の著書
👉 「南海トラフM9地震は起きない!」(方丈社)
をぜひご覧ください。
FAQ
Q1. プレート説と熱移送説、どちらが正しいの?
現在の地震学ではプレート説が主流ですが、熱移送説の方が多くの現象を説明できる可能性があります。どちらが正しいかは今後の研究次第です。
Q2. 南海トラフ地震は本当に起こらないの?
熱移送説に基づくと、南海トラフでM9クラスの地震が起こる可能性は低いとされています。ただし、中規模の地震は発生する可能性があります。
Q3. 直下型地震や富士山噴火のリスクは?
直下型地震のリスクは依然として高く、特に沼津~富士五湖エリアが危険視されています。一方、富士山の噴火は当面起こる可能性が低いとされています。