2024年に決定した「定額減税」について対象者や減税額など詳しく解説

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2024年に日本で実施された「定額減税」は、物価高騰による国民の負担を軽減し、デフレ脱却を目指すための政府の経済対策として導入された税制上の特別措置です。以下に、その概要や仕組み、対象者、実施方法についてわかりやすく解説します。

定額減税の概要

定額減税は、2024年6月から開始された制度で、納税者1人あたり所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が減税されるものです。この政策は「令和6年度税制改正」に基づき、2024年分の所得税および2024年度分の住民税を対象に適用されました。目的は、賃金上昇が物価高に追いついていない状況下で、家計の可処分所得を増やし、生活支援を行うことです。ただし、この減税は2024年限定の措置であり、2025年以降に継続する予定はありません(2024年10月時点での情報)。

対象者

定額減税を受けられるのは、以下の条件を満たす人です:

  • 所得税の対象者:2024年分の所得税を納税する居住者(日本国内に住所がある、または1年以上居住している個人)で、合計所得金額が1,805万円以下であること。給与所得のみの場合、年収2,000万円以下が目安。子どもや特別障害者等を有する者で所得金額調整控除が適用される場合は、2,015万円以下。
  • 住民税の対象者:2024年度の住民税(所得割)を納税する人で、2023年の合計所得金額が1,805万円以下であること。住民税の「均等割」のみ課税される人は対象外。
  • 扶養家族も含む:納税者本人だけでなく、同一生計の配偶者や扶養親族(合計所得金額48万円以下、給与収入のみなら103万円以下)も1人あたり4万円の減税対象となります。

例えば、納税者本人と扶養家族2人の3人家族の場合、合計12万円(4万円×3人)の減税が受けられます。ただし、元々の納税額が減税額を下回る場合は、その差額分は減税されず、別途給付金として対応されるケースもあります。

実施方法

定額減税の適用方法は、所得の種類や納税形態によって異なります。

1. 給与所得者(会社員など)

  • 所得税:2024年6月1日以降に最初に支払われる給与(または賞与)の源泉徴収税額から減税分が控除されます。控除しきれない場合は、年内(12月まで)の給与や賞与で順次控除され、最終的に年末調整で精算されます。給与明細に減税額が明記されるルールになっています。
  • 住民税:通常6月から翌5月までの12カ月で徴収される住民税が、2024年6月分は徴収されず、残りの減税後税額を7月から2025年5月までの11カ月で分割徴収されます。これにより、6月の手取りが増える一方、7月以降の1カ月あたりの納付額が若干増える可能性があります。

2. 個人事業主・自営業者

  • 所得税:2024年分の確定申告(2025年2月17日~3月17日)で、所得税額から減税分が控除されます。予定納税対象者の場合、2024年7月の第1期納税額から本人分が控除され、扶養家族分は「減額申請手続」で対応。控除しきれない場合は11月の第2期分で調整されます。
  • 住民税:普通徴収の場合、2024年6月の第1期納税額から減税分が控除され、残額があれば8月以降の納税で順次控除されます。

3. 年金受給者

  • 所得税:2024年6月1日以降に最初に受給する年金から源泉徴収される税額が減額されます。控除しきれない場合は、その後の年金で調整されます。
  • 住民税:2024年10月分から減税が適用され、必要に応じて12月以降も控除が続きます。

注意点と補足

  • 手続き:給与所得者や年金受給者は基本的に特別な手続き不要ですが、扶養親族の変更があった場合、年末調整や確定申告で調整が必要です。個人事業主は確定申告が必須です。
  • 低所得者への給付:定額減税で控除しきれない場合や、住民税非課税世帯、均等割のみ課税世帯には、別途「調整給付金」や「低所得者支援給付金」が支給されます。例えば、納税額が4万円未満の場合、差額が1万円単位で給付されます。
  • 他の制度との関係:住宅ローン控除やふるさと納税は基本的に影響を受けませんが、所得税が減ることで控除枠が調整される可能性があります。

評価と課題

定額減税は手取りを増やす効果が期待されましたが、以下のような課題も指摘されています:

  • 給与明細での減税が分かりづらく、国民の実感が薄い(「ステルス減税」と揶揄されることも)。
  • 事務負担が企業や自治体に大きく、コストがかかった。
  • 高所得者(年収2,000万円超)は対象外である一方、低所得者への給付が別途必要で不公平感が残る。

結論

2024年の定額減税は、国民1人あたり4万円というシンプルな減税策でしたが、実施方法や効果の実感度には賛否両論がありました。2024年限定の措置として終了し、2025年以降は物価高対策が給付金中心に戻ると見られています。この政策は、経済対策の一環として一定の役割を果たしたものの、現場の混乱や認知度の低さが今後の課題として浮き彫りになりました。

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