日本経済はなぜ 「失われた30年」 を迎え、多くの国民が生活の苦しさを感じるようになったのでしょうか?
本記事では、日本経済の低迷の原因と、それによって生まれた「就職氷河期世代」の背景を詳しく解説します。
バブル景気の発生と崩壊:日本経済の転落の始まり
バブル経済とは?
バブル経済とは、1980年代後半に日本で起こった異常な経済成長のことを指します。
この時期、日本の不動産や株価が急騰し、多くの企業や個人が投資で莫大な利益を上げました。しかし、その裏には 「異常な金融政策」 がありました。
バブルが発生した理由
バブル経済を引き起こした主な要因は、日銀(日本銀行)の金融政策 によるものです。
日銀が実施した「窓口指導」 という政策が、バブルの原因となりました。
- 窓口指導とは?
- 銀行に対し、「一定額以上の融資を行うよう指導」する政策。
- 銀行は、企業に対して無理やり貸し付けを行う必要があった。
- 企業は 「本業での資金調達の必要がない」 状態になり、余剰資金が発生。
- 結果として、その余剰資金が 土地や株への投資(投機) に向かい、価格が急騰した。
1982年以降の窓口指導による融資増加率は 年率10%以上 という驚異的な伸びを見せ、企業は 投資による利益を追求 する流れに乗せられてしまいました。
その結果、1986年から1988年までのわずか 2年間で不動産価格は2.5倍 という異常な状況になりました。
バブル崩壊と就職氷河期の誕生
バブル崩壊の原因
バブルが弾けたのは 日銀が突然「窓口指導」をやめたこと が原因です。
1991年7月、日銀は 「これ以上の貸し付けを行うな」 と急遽方針転換。
これにより、以下のような影響が発生しました。
- 銀行が不動産・株式への融資をストップ
- 投資マネーが消え、資産価格が急落
- 企業が負債を抱え、大規模なリストラを開始
結果として、「バランスシート不況」 が発生し、企業が 人員削減・給与カット・新卒採用停止 に踏み切りました。
就職氷河期世代の誕生
バブル崩壊後の1998年には、大手銀行の破綻が相次ぎ、新卒採用の抑制が始まりました。
- 1998年~2004年の間 は、「就職氷河期」 と呼ばれるほど 新卒採用が激減。
- 当時の大学生は、正社員として就職できず、非正規雇用やフリーターになる人が急増 しました。
- その後も 正社員登用の機会が少ないまま年齢を重ね、収入が伸び悩む世代が誕生 した。
「就職氷河期世代」 は、現在40~50代になっていますが、未だに正社員になれない人も多く、低所得のまま生活を送っているケースも少なくありません。
なぜ日銀はこんな政策を行ったのか?
① アメリカの圧力
日銀がバブルを発生させ、その後崩壊させた背景には アメリカの影響 がありました。
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1980年代のアメリカ
- 「双子の赤字(財政赤字・貿易赤字)」に悩まされていた。
- 「日本が貿易黒字を出しすぎている」 と批判し、日本経済を弱体化させようとした。
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「前川レポート」の影響
- 1986年に発表されたレポートで、「日本は国内消費を拡大し、貿易黒字を削減すべき」 と提言。
- これを受けて 日銀は金融政策を緩和し、バブル経済を誘発した。
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バブル崩壊後、日本企業の株を安く買い叩ける状況に
- 外資が日本企業の株を買収しやすくなった。
- 現在、日本企業の株式の 約3割が外国人投資家に保有されている。
② 日銀の独立
1998年に 日銀法が改正され、大蔵省(現在の財務省)から日銀が独立 しました。
- それ以前:日銀は大蔵省(財務省)の一部だった。
- それ以降:日銀が独自の政策を行えるようになった。
日銀の独立によって、日本政府が直接金融政策をコントロールできなくなり、「日銀が日本経済を操作しやすい環境」が整った と言えます。
まとめ
✅ バブル景気の発生と崩壊は、日銀の金融政策が原因
✅ 1991年の窓口指導廃止により、日本経済は一気に冷え込んだ
✅ 1998年の金融危機で就職氷河期世代が生まれた
✅ 背景にはアメリカの影響と、日銀の独立が関係していた
この政策の影響は、現在の低賃金・非正規雇用の増加・格差拡大 にもつながっています。
今後、日本経済が復活するためには、政府が積極財政を行い、氷河期世代の救済や賃金上昇策を打ち出すことが不可欠 です。