パートやアルバイトで働く方にとって、「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」は重要な収入制限です。特に、最近の社会保険適用拡大により、これらの壁がどのように変わるのか、増税とどのように関係するのかが注目されています。この記事では、それぞれの壁の違いを詳しく解説し、今後の影響についても考察します。
103万円の壁とは？
103万円の壁とは、所得税が発生しない上限のことを指します。
- 年収103万円以下の場合、所得税（5%）がかかりません。
- 配偶者控除の対象となり、夫や妻の扶養に入れるため、世帯全体の税負担が軽減されます。
103万円を超えるとどうなる？
- 年収103万円を超えると、所得税が発生（ただし5%なので大きな負担ではない）。
- 配偶者の**扶養控除が縮小（または消滅）**し、世帯全体での税負担が増える可能性がある。
現在、政府は103万円の壁を撤廃する方針を示していますが、具体的な変更内容はまだ決定していません。
106万円の壁とは？
106万円の壁は、社会保険（厚生年金・健康保険）への加入義務に関する基準です。
- 従業員51人以上の企業に勤務する場合、年収106万円を超えると、社会保険に加入が義務化されます。
- 手取りが減るため、収入を106万円以内に抑える人が多い。
今後の変更点
政府は「社会保険の適用拡大」を進めており、従業員数の要件が撤廃される予定です。つまり、企業の規模を問わず、週20時間以上働いている人は社会保険に加入しなければならなくなる可能性があります。
これにより、中小企業で働くパート・アルバイトの方も影響を受けることになり、扶養の範囲内で働こうとする人が減る可能性があります。
130万円の壁とは？
130万円の壁は、「配偶者の社会保険の扶養」に関する基準です。
- 年収130万円を超えると、配偶者の扶養から外れ、自分で社会保険に加入する必要がある。
- その結果、健康保険や厚生年金の保険料を自分で負担するため、手取りが減る。
130万円の壁を超えた場合、どれくらい手取りが減る？
- 社会保険料として、収入の約15%程度が引かれるため、手取りは大幅に減少します。
- 企業の規模に関係なく適用されるため、どこで働いていてもこの壁は避けられません。
そのため、多くのパート・アルバイトの方は年収130万円以内に収めるように調整しています。
増税と社会保険料の負担増の関係
政府は「社会保険の適用拡大」を進めており、今後は企業規模に関係なく、週20時間以上働くと社会保険に加入しなければならなくなる可能性があります。
これにより、130万円の壁が実質的に106万円の壁へと下がる可能性があり、今まで扶養の範囲内で働いていた人も、社会保険料の負担を余儀なくされることになります。
社会保険料の負担増は実質的な増税？
社会保険料は税金ではありませんが、**「強制的に徴収される」「戻ってくる保証がない」**という点で、実質的な増税と同じ性質を持っています。
- 所得税や住民税と違い、累進課税ではなく一律で徴収されるため、低所得者ほど負担が大きくなる。
- 減税政策が実施されても、社会保険料の負担増で手取りが減ることが多い。
- 企業側の負担も増えるため、中小企業にとっては厳しい状況になる。
今後の働き方への影響
1. 収入を抑えて働く人が増える？
社会保険の適用拡大により、今まで106万円や130万円以内で働いていた人も、手取りの減少を避けるために労働時間を減らす可能性があります。
2. 大企業と中小企業の格差が広がる？
- 大企業は社会保険料の負担割合を増やすことで、パート・アルバイトを確保できる。
- 中小企業は負担増に耐えられず、人手不足が深刻化する可能性がある。
3. 社会保険料のさらなる引き上げの可能性
政府の財政難を背景に、今後も社会保険料の負担が増える可能性があります。
- 「減税しても、社会保険料が上がるため、実質的な負担が増える」という状況が続くことが懸念されます。
FAQ（よくある質問）
Q1: 103万円の壁はなくなるの？
政府は103万円の壁を撤廃する方針を示していますが、具体的な変更内容や時期は未定です。
Q2: 106万円の壁を超えるとどのくらい手取りが減るの？
106万円を超えると社会保険に加入することになり、年間で10万円～15万円程度の手取り減となるケースが多いです。ただし、実際の減額は保険料率や労働条件によって異なるため、具体的な影響は自身の勤務先の社会保険制度を確認することをおすすめします。
Q3: 社会保険料が上がるとどうなるの？
社会保険料が上がると、手取りが減り、消費が落ち込む可能性があります。また、企業の負担も増えるため、雇用の安定性が低下するリスクもあります。
まとめ
- 103万円の壁：所得税が発生する基準（政府が撤廃を検討中）。
- 106万円の壁：社会保険加入の基準（適用拡大により影響を受ける人が増加）。
- 130万円の壁：配偶者の扶養から外れる基準（負担増により手取りが減少）。
- 社会保険適用の拡大は、実質的な増税につながる可能性が高い。
今後の制度改正により、「壁」を気にせず働ける環境が整うのか、それとも負担が増えるのか、引き続き注意が必要です。
