近年、ラーメン屋の倒産件数が過去最多 となり、多くの飲食店が厳しい状況に立たされています。
なぜお客様が来ていても、ラーメン店は経営が厳しくなってしまうのでしょうか?
この記事では、ラーメン業界の現状と倒産が増えている理由を解説し、飲食業界で生き残るための考え方 を紹介します。
ラーメン屋の倒産が過去最多に!その実態とは?
東京商工リサーチのデータ によると、2023年のラーメン屋の倒産件数は 年間45件 でしたが、2024年は9月時点で47件を超え、過去最多 を更新しています。
「倒産」というと、すべてのラーメン店が店を閉めているように思えますが、実際には 「廃業」 する店舗の方が圧倒的に多いのです。
倒産と廃業の違い
- 倒産:借金や支払いができず、法的手続きのもとで会社が破綻すること
- 廃業:経営者が自ら判断し、借金などを整理したうえで店を閉めること
つまり、実際には**「もう経営が厳しい」と判断して廃業する店舗が何百件もある** ということです。
では、なぜラーメン屋が厳しい状況に追い込まれているのでしょうか?
ラーメン屋が倒産・廃業する4つの理由
1. 物価高騰によるコスト増加
近年、ラーメンの原材料費が 約15% 高騰しています。
例えば、1杯1,000円のラーメンの 原価が300円 だった場合、15%のコスト増加で 345円 になってしまいます。
この「たった45円の差」と思うかもしれませんが、1日100杯売る店なら 1日4,500円、1ヶ月で135,000円のコスト増 になる計算です。
さらに、ラーメン屋ではスープや麺、トッピングなど複数の原材料が必要 なため、実際のコスト増加はさらに大きくなります。
2. 人件費の上昇
ラーメン屋を含む飲食業界では、パート・アルバイトの最低賃金が毎年上昇 しています。
2024年も全国的に最低賃金が50円以上アップ しました。
また、人手不足により 他店との人材争奪戦が激化 し、より高い時給を提示しなければスタッフを確保できない状況が続いています。
人件費が増えれば、利益はどんどん圧迫されます。
3. 水道光熱費の高騰
ラーメン屋は 大量の水・ガス・電気 を使います。
特にスープを煮込むためのガス代や、夏場のエアコン代などが大きな負担になります。
2022年以降、水道光熱費が高騰し続けており、数万円~数十万円のコスト増 になっているラーメン店も珍しくありません。
4. インボイス制度の影響
2023年10月に導入された インボイス制度 により、小規模な個人経営のラーメン店も消費税を納めなければならないケースが増えました。
これにより、税負担が増し、経営が厳しくなった店舗も多いのです。
ラーメン屋が生き残るための3つの戦略
1. 値上げを恐れずに行う
現在の状況では 1,000円以下でラーメンを提供するのはほぼ不可能 です。
実際に、多くの人気店は 1,200円~1,500円 に値上げしています。
「値上げするとお客さんが減るのでは?」と不安になるかもしれませんが、適正な価格で提供しないと店の存続が難しくなります。
価格以上の価値を提供すれば、お客さんは離れません。
2. 差別化を図る
ラーメン業界は 競争が激しい ため、他店との差別化が必要です。
特に 「この店ならではの味」 を作ることが大切です。
- 独自のスープや麺 を開発する
- 「〇〇系ラーメン」としてブランディング する
- 高級路線や限定メニューを打ち出す
など、他店と異なる特徴を持つことで、固定ファンを獲得できます。
3. 多店舗展開 or 高級路線
ラーメン店で大きく儲けるには、多店舗展開 するか、1店舗で高級路線を突き進む しかありません。
- 多店舗展開:低価格でも 複数店舗で利益を出す ビジネスモデル
- 高級路線:1杯2,000円以上のラーメンを提供し、単価を上げる ビジネスモデル
例えば、「らぁ麺 飯田商店」のように高価格帯でも成功しているラーメン店もあります。
一方で、「一風堂」のように全国展開でブランドを確立する方法もあります。
まとめ:飲食業界で生き残るには?
ラーメン店が倒産・廃業する理由
- 原材料費の高騰(15%増)
- 人件費の上昇(最低賃金アップ)
- 水道光熱費の高騰
- インボイス制度の影響
生き残るための戦略
- 適正価格に値上げする(1,200円~1,500円が主流)
- 独自の味やブランディングで差別化する
- 多店舗展開するか、高級路線に特化する
飲食業界は 妥協との戦い です。
コストを抑えるために食材やサービスを妥協すれば、客離れが起こる。
一方で、良いものを追求しすぎると、利益が出せなくなる。
だからこそ、「適正な価格設定」と「独自の強み」が重要なのです。

