紙ストロー廃止でプラスチック回帰?本当に環境に優しいのはどっち?

紙ストローとプラスチックストローの環境負荷を比較 時事ニュース・話題

紙ストローが環境に優しいという認識が広まる中、アメリカではプラスチックストローへの回帰が進んでいます。実は、紙ストローの方が環境負荷が高い可能性が指摘されており、SDGsの取り組みにも疑問の声が上がっています。この記事では、紙ストローとプラスチックストローの環境負荷の違いや、私たちが本当にすべきことについて解説します。

なぜ紙ストローが広まったのか?

紙ストローが普及するきっかけとなったのは、2015年にYouTubeで拡散された「鼻にプラスチックストローが刺さったウミガメの動画」です。この映像は多くの人々の関心を集め、使い捨てプラスチック削減の動きが世界中で加速しました。

特にアメリカでは、2018年のデータで「1日に5億本のプラスチックストローが消費されている」という問題が指摘され、各国で紙ストローへの移行が進められました。しかし、最近になり「本当に紙ストローが環境に良いのか?」という疑問が生じています。

紙ストロー vs. プラスチックストロー:環境負荷を比較

実は、紙ストローは製造・廃棄の過程でより多くの二酸化炭素(CO2)を排出することが分かっています。

1. CO2排出量の比較(LCA分析)

LCA(ライフサイクルアセスメント)による比較では、以下の結果が示されています。

  • プラスチックストロー:1日5億本で約1390トンのCO2排出
  • 紙ストロー:プラスチックよりも重量が2倍以上になり、結果的にCO2排出量が増加

つまり、紙ストローの方がプラスチックストローよりも環境負荷が高くなる可能性があるのです。

2. 海洋汚染への影響

海洋ゴミの主な原因はプラスチックストローではなく、漁業関連の廃棄物(ロープや網)が約60%を占めています。プラスチックストローは全体の1%未満にすぎず、ストローを禁止しても海洋汚染の解決には直結しません。

なぜアメリカで「プラ回帰」が起きているのか?

2025年、トランプ前大統領は「政府機関での紙ストロー使用を廃止し、プラスチックストローに戻す」という大統領令に署名しました。この背景には、次のような理由があります。

  1. 合理的な判断:データを分析した結果、紙ストローの方が環境負荷が高いことが分かったため。
  2. コストの問題:紙ストローは製造コストが高く、企業の負担が増えている。
  3. 政治的要因:リベラル寄りの環境政策への反発として、トランプ氏が象徴的に取り上げた。

ただし、これが単なる「反環境政策」ではなく、むしろ環境負荷をより正しく評価しようという流れになっている点が重要です。

私たちは何をすればいいのか?

SDGsや環境問題に取り組む上で、重要なのは「データに基づいた判断」をすることです。単なるイメージや感情論ではなく、以下の点を意識しましょう。

1. 使い捨て自体を減らす

紙ストローかプラスチックストローかではなく、そもそもストローを使わない選択肢を考えることが重要です。

2. 本当に環境に良いのかを調べる

「エコに見えるもの=環境に良い」とは限りません。例えば、エコバッグも使い続けなければ逆に環境負荷が高くなることが分かっています。

3. リサイクルの意識を持つ

日本は比較的ゴミ処理が進んでいる国ですが、東南アジアなどの国々ではゴミの管理が不十分であり、環境負荷の大きな原因となっています。プラスチックを適切に処理し、リサイクルを意識することが大切です。

まとめ

紙ストローが環境に優しいという考え方には、データ上の矛盾がありました。実際には、紙ストローの方がCO2排出量が多く、環境負荷が高い可能性が指摘されています。

アメリカでの「プラスチックストロー回帰」は、単なる反環境政策ではなく、環境負荷を正しく評価しようとする動きの一環とも言えます。

私たちがすべきことは、感情ではなくデータに基づいた行動を取ることです。ストローを使わない選択や、リサイクルを意識することが、環境問題への最適なアプローチとなるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました