個人事業主として働くフリーランスの方にとって、節税対策は大きな関心事です。しかし、「経費を増やせば税金が安くなる」 という考えだけで申告すると、思わぬリスクを招くことがあります。
実際に年収600万円のフリーランスに税務調査が入った事例をもとに、税務調査が来る理由や節税の落とし穴について解説します。
フリーランスAさんのケース:税務調査が入った理由
1. Aさんの収入と節税対策
Aさんはフリーランスのイラストレーターで、年収は約600万円。
通常の経費は200万円ほどでしたが、節税を目的に以下のような経費を追加しました。
- 高性能PC(50万円)
- 高額セミナー(年間100万円)
- 仕事専用のレンタルオフィス(年間120万円)
この結果、経費が一気に増えて課税所得は0円に!
所得税も住民税もゼロになり、税金の支払いは完全に免除されました。
しかし、数年後に税務調査が入り、Aさんは200万円もの追徴課税を受けることになったのです…。
節税の落とし穴!税務調査で問題視されたポイント
1. 減価償却を無視したPCの購入
Aさんは50万円の高性能PCを一括で経費計上しましたが、これは減価償却を無視した処理でした。
減価償却とは?
- 30万円以上の備品は、購入した年に全額経費にできない
- PCの場合、4年間にわたって分割して経費計上する必要がある
→ Aさんはこれを知らず、本来なら10万円ずつ計上するべきところを50万円まるごと経費にしていたため、修正を命じられました。
2. 高額セミナーは「収益性が不明」
イラストレーターとしてのスキルを活かして、新しい事業を始めるために受講したセミナー。
しかし、税務署からは「そのセミナーが本当に仕事に直結しているのか?」 という点を問われました。
- 収益がまだ出ていないセミナー
- 受講しただけで終わっている
結果として、セミナー費用は認められたものの、100万円を支払って税金が20万円安くなっただけ という「損した節税」になってしまいました。
3. 仕事用のレンタルオフィス vs. 自宅作業場
Aさんは、新たに仕事専用のオフィス(月10万円)を借りて経費計上しました。
しかし、すでに自宅の作業場(家賃の75%)も経費計上していたため、税務署から指摘されました。
- 「オフィスがあるなら自宅の作業場はいらないのでは?」
- 「75%も家賃を経費にするのは多すぎる」
結果、自宅作業場の経費(年間144万円)が否認され、計算を修正することになりました。
4. カフェ代は「業務に関係ない」と判断
Aさんは、カフェでのアイデア出しや作業を「会議費」として計上していました。
しかし、税務調査官からは次のような指摘を受けました。
- 「仕事部屋があるのに、なぜわざわざカフェに行くのか?」
- 「実際に会議していた証拠がない」
結果、カフェ代の経費も認められませんでした。
なぜ税務調査が来たのか?調査対象になりやすいポイント
1. 数年連続で課税所得が0円
税務署は、「どうやって生活しているの?」と疑問を持ちます。
特に、数年間課税所得0円が続くと、税務調査の対象になりやすいです。
2. 特定の経費が異常に高い
Aさんは年収600万円なのに、100万円のセミナー費用を計上していました。
これは収入に対して割合が大きく、「不自然な経費」と判断されやすいポイントです。
3. 経費の計算ミスや不適切な処理
税務調査官は、計算ミスや誤った処理があると「他にも問題があるかも」と考え、調査を進める傾向があります。
特に、
- 減価償却の計算ミス
- 家賃の経費割合が不自然
といった点があると、税務調査が入りやすくなります。
税務調査が入らないための節税ポイント
✅ 1. 経費の正しいルールを理解する
- 高額な備品は減価償却が必要
- 経費として認められる範囲を把握する
✅ 2. 証拠をしっかり残す
- カフェや出張のレシートを保存
- 「この経費は何のために使ったのか?」をメモしておく
✅ 3. 無理な節税をしない
- 「とにかく経費を増やせばいい」という考えは危険!
- グレーな経費はトラブルのもと
まとめ:賢い節税を心がけよう!
Aさんは、節税のつもりが税務調査を招き、結果的に200万円もの追徴課税を受けることになってしまいました。
税務調査を避けるためのポイント
✅ 適正な経費を計上する
✅ 証拠をしっかり残す
✅ 無理に課税所得を0円にしない
フリーランスや個人事業主の皆さんは、適正な節税対策を行い、税務調査を回避できるよう準備をしておきましょう!

