近年、ガソリン価格の高騰が続き、家計への負担が大きくなっています。その一因とされるのが、ガソリン税の「暫定税率」です。この暫定税率の廃止が議論されていますが、2025年中の実現は困難であるとの見方が強まっています。本記事では、ガソリン税の暫定税率の仕組み、減税の議論、与党内の慎重な意見などについて詳しく解説します。
ガソリン税の暫定税率とは?なぜ「暫定」のままなのか
ガソリン税は、1リットルあたり53.8円が課税されています。その内訳は以下の通りです。
- 本則税率:28.7円
- 暫定税率:25.1円
この暫定税率は、1974年のオイルショック後に道路整備の財源確保のために導入されました。本来は「一時的な措置」とされていましたが、その後も税収の重要な財源とされ、50年以上にわたり維持されています。
2025年のガソリン税廃止は困難?与党の慎重な姿勢
国民民主党などの野党は、物価高騰を理由に2025年中の暫定税率廃止を求めています。しかし、与党の自民党・公明党内では慎重な意見が多数を占めています。その主な理由は以下の通りです。
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税収の減少
- 暫定税率を廃止すると、年間約1兆円の税収が失われると試算されています。
- この財源は道路整備や公共事業に充てられているため、代替財源の確保が不可欠です。
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財政状況の悪化
- 日本の財政は厳しく、国債発行額も増加傾向にあります。
- 減税による財源不足が、財政赤字をさらに深刻化させる可能性があります。
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地方経済への影響
- ガソリン税は地方自治体の財源の一部にもなっています。
- 減税により地方財政が逼迫する懸念があります。
このような事情から、与党は「慎重な議論が必要」との立場を取っています。
ガソリン税が高いと指摘される理由
ガソリン税は、「二重課税」の問題が指摘されています。
- ガソリン税(53.8円)の上に、消費税がさらにかかる
- つまり、すでに課税された税額に対しても消費税が課せられる仕組み
これにより、ガソリン価格が高騰すると、税負担もさらに重くなります。特に地方では車が生活必需品であり、この税負担の影響は大きいと言えます。
今後の見通し 2025年中の減税は厳しい?
2024年12月の与党協議では、ガソリン税の暫定税率を「廃止も検討する」との方針が示されました。しかし、2025年中に即座に撤廃するのは難しいとの意見が大半を占めています。
政府内では、減税を段階的に実施する案や、他の税収で補填する案などが検討されていますが、具体的な合意には至っていません。
FAQ
Q1: ガソリン税の暫定税率はいつ廃止されるの?
A1: 現時点では具体的な時期は未定です。与党内で慎重な議論が続いており、2025年中の廃止は困難との見方が強いです。
Q2: ガソリン税の暫定税率が廃止されたら、価格はいくら下がるの?
A2: 1リットルあたり25.1円の税負担がなくなるため、その分ガソリン価格が下がる可能性があります。ただし、実際の価格は原油価格や為替レートの影響も受けるため、一概には言えません。
Q3: もし減税が実施されなかったら、ガソリン価格はどうなる?
A3: 現在の原油価格や円安の影響を考慮すると、価格の高止まりが続く可能性があります。減税が実施されなければ、家計や企業の負担は今後も続くでしょう。
まとめ
ガソリン税の暫定税率廃止は、長年の課題となっていますが、2025年中の実現は厳しい状況です。
- 税収の減少、財政状況の悪化、地方経済への影響などが懸念され、与党内では慎重な姿勢が続いている
- 野党は物価高騰対策として廃止を求めているが、与党との合意には至っていない
- 今後は段階的な減税や、代替財源の確保が議論のポイントになる
ガソリン価格の高騰が続く中で、政府の対応がどのように変化するのか、今後の議論に注目が集まります。