「具体抽象トレーニング」思考法を身につけるコツとコミュニケーションでの活用方法

具体と抽象 文学・小説・批評・ビジネス書

「具体」と「抽象」の思考法は、複雑な問題を解決したり、コミュニケーションを円滑にするための重要なスキルです。本記事では、具体と抽象を行き来する力(往復力)を鍛える方法と、実際の仕事や日常生活で役立つ活用方法を解説します。

具体と抽象の基本的な考え方

具体と抽象は、思考を深めるための2つの重要な視点です。この両方を理解し、使い分けることが問題解決の鍵になります。

具体と抽象の違い

  • 具体:目に見える、詳細でわかりやすい事象や情報のことを指します。具体的な話をすることで、物事を正確に伝えることが可能です。
    • 例:「チャーハン」や「クワガタ」など。
      具体例では詳細な内容がはっきりと分かりやすくなります。
  • 抽象:大まかで本質的な概念やカテゴリのことを指します。抽象的な話をすることで、全体像や共通点を捉えることができます。
    • 例:「中華料理」や「昆虫」など。
      抽象的な表現を使うことで、幅広い事象をひとつの枠組みにまとめることができます。

具体と抽象の往復とは?

具体から抽象、抽象から具体を行き来する「往復」を意識することで、問題の本質を捉えたり、分かりやすく説明したりすることができます。例えば、複雑なアイデアを抽象化して簡潔に説明した後、具体的な事例を挙げて説得力を高めるなど、両方を行き来することで効果的な思考が可能になります。

思考法を磨くトレーニング方法

1. 抽象化の練習

抽象化とは、個々の具体的な情報をまとめて、共通点や本質を見つけることです。これにより、幅広い場面で応用可能な知識を得られます。

  • 練習例1:具体的な行動を抽象化する。
    例えば、「リンゴ、バナナ、ぶどう」という具体的な果物を、「果物」という抽象的なカテゴリでまとめることです。これにより、同じ性質を持つものをグループ化できます。
  • 練習例2:真逆のものを抽象化して共通点を見つける。
    例:「成功と失敗」→ 共通点は「行動の結果」。
    成功と失敗は結果は異なりますが、どちらも「行動があったからこそ生まれる」という点で共通しています。このように本質を捉える練習が抽象化を助けます。

2. 具体化の練習

具体化とは、抽象的なアイデアや目標を、実行可能な具体的なタスクや事例に変換することです。

  • たとえば、「効率を上げる」という抽象的な目標を、「会議時間を短縮する」や「タスク管理ツールを導入する」といった具体的なアクションに落とし込むことで、実際に行動に移せるようになります。

3. 他者の視点を考える

他人の発言や行動を具体と抽象の両面で理解することは、誤解を減らし、円滑なコミュニケーションにつながります。

  • たとえば、上司が「全体の効率化が必要」といった抽象的な指示を出した場合、それを具体的なアクションに分解して提案することで、議論がスムーズになります。

4. 抽象化のフレームワークを活用

ピラミッド構造をイメージして、思考を整理します。

  • 頂点:抽象(本質)→ 基底:具体(詳細)。
  • 例:「飲み会の手配」
    • 抽象:成功する接待とは?
    • 具体:15000円のコース、窓際の席、手土産の用意。
      抽象と具体を関連付けることで、行動に繋げやすくなります。

具体と抽象をコミュニケーションに活用する方法

議論の噛み合いを良くする

議論が噛み合わない原因のひとつは、具体的な話と抽象的な話が混在していることです。

  • 相手が具体的な話をしている場合、それを抽象化して本質を捉えると、共通点を見つけやすくなります。
    • 例:「この商品の価格が高すぎる」という具体的なクレーム → 「顧客はコストパフォーマンスを求めている」という本質に変換。
  • 抽象的な議論には具体例を挙げることで、実行可能な話に落とし込めます。
    • 例:「効率化が必要」→「具体的に業務の何を効率化するか」を議論。

偏りを避ける

具体と抽象のどちらかに偏ると、思考が浅くなり、コミュニケーションに支障をきたします。

  • 具体病:具体的なことしか考えられず、応用が利かない状態。
    例:顧客から「5万円値引きしてほしい」と言われ、そのまま値引きを受け入れてしまう。抽象化を取り入れると、「価格以外で価値を提供する方法」を考えられるようになります。
  • 抽象病:抽象的な理想論ばかりで、行動に結びつかない状態。
    例:「最高の接待をするべき」と言うだけで、何をすればよいかが明確でない。具体的なタスクに落とし込むことで、実行可能になります。

他者への理解を深める

自分とは違う立場の人々について抽象化しすぎると、誤解や摩擦を生みます。

  • 例:「営業部の人たちはこう考えている」と一括りにせず、地域や経験年数などで分けて具体的に考える。

練習問題で実力チェック!

  1. 成功と失敗を抽象化すると?
    答え:「行動の結果」という意味で同じ。
    成功も失敗も、何らかの行動を起こした結果であるという本質を抽象化して捉えます。
  2. 愛と憎しみを抽象化すると?
    答え:「執着」という点で共通。
    対象への強い関心という共通点を見つけることで、感情の本質を理解できます。
  3. 5億円の資産と借金を抽象化すると?
    答え:「稼ぐポテンシャルがある」。
    資産も借金も、どちらも大きな経済的信頼があることを示しており、可能性の高さを表しています。
  4. 写真が0円になったことを抽象化し、次に0円になるものを予測すると?
    答え:AIの進化によって、「新入社員のお仕事」が低コスト化する。
    テクノロジーの発展による効率化を抽象化し、未来の影響を予測します。

まとめ

具体と抽象の思考法を習得することで、以下が可能になります:

  • 複雑な問題を整理し、本質を見抜く。
  • コミュニケーションの齟齬を減らし、議論をスムーズに進める。
  • 柔軟な発想で新しいアイデアを生み出す。

具体と抽象を行き来する癖をつけることで、仕事や日常での思考力が飛躍的に向上します。このスキルを使って、より深い理解と効率的な行動を目指しましょう!

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