2025年の税制改正により、「103万円の壁」「扶養控除の範囲」が大きく変わりました。
特に注目されているのが、「扶養58万円の壁」の登場です。これは主婦や学生、自営業者、年金受給者など、多くの人に影響する内容です。
この記事では、最新の扶養控除や基礎控除の変更点、所得税・住民税の非課税ライン、社会保険との関係を、初心者にもわかりやすく解説します。
※2025年10月時点の情報をもとに記事にしています。内容は変更になる場合があります。
年収の壁とは?2025年からの大きな変更点を整理
これまでの「103万円の壁」は、以下の2つの意味を持っていました。
- 所得税がかからない年収ライン
- 扶養の範囲内でいられるライン(控除対象)
しかし2025年の改正で、この2つの基準がズレ始めました。
所得税の非課税ラインは160万円まで拡大
配偶者や学生、特定扶養親族(19〜22歳)においては、所得税がかからない年収ラインが160万円まで引き上げられました。
- 配偶者・学生:160万円まで所得税ゼロ
- 住民税:110万円まで非課税(地域により異なる)
扶養控除の判定には「58万円」が重要に
一方で、「扶養に入れるかどうか」は合計所得が58万円以下かどうかで判定されます。
この「58万円」が「扶養の壁」として新たに注目されています。
主婦・パート・アルバイトの場合のポイント
所得税と扶養の壁がズレている
| 内容 | 年収ライン | 備考 |
|---|---|---|
| 所得税がかからない | 160万円以下 | 給与所得控除65万円+基礎控除95万円 |
| 扶養に入れる | 123万円以下 | 給与所得控除65万円+扶養判定基準58万円 |
年収160万円でも所得税はかかりませんが、扶養控除を受ける配偶者や親からは外れる可能性があります。
配偶者特別控除は「年収の坂」へ
配偶者が年収160万円を超えても、すぐに控除がなくなるわけではありません。
年収が上がるにつれて、以下のように段階的に控除額が減っていきます。
- 年収160万円:控除38万円
- 年収201.6万円:控除0円(打ち切り)
学生(19歳〜22歳)の場合は150万円まで特別扱い
特定扶養親族として優遇される
学生(実際は19歳〜22歳の年齢に該当する人)には「特定扶養控除」が適用され、親の控除額が最大63万円まで認められます。
- 年収150万円まで:最大控除63万円
- 150万円超〜123万円まで:段階的に減少
- 123万円超:扶養控除なし
「学生バイトは稼ぎやすくなるが、扶養を外れるリスクもある」ということを理解しておきましょう。
自営業・フリーランス・Uber配達員の場合の注意点
自営業者やフリーランスは「収入」ではなく「所得(収入 − 経費)」が重要です。
- 所得税がかからないライン:所得95万円以下(基礎控除95万円)
- 扶養に入れるライン:所得58万円以下
例:収入200万円でも経費が多ければ扶養に入れる可能性あり
- 収入200万円 − 経費140万円 = 所得60万円(扶養対象外)
- 経費を2万円多くすれば所得58万円で扶養対象になる可能性あり
経費計上が重要なポイントになります。
シニア(年金生活者)のケース
65歳以上の方にも改正の影響があります。
| 内容 | 年金収入 |
|---|---|
| 所得税ゼロ | 205万円以下 |
| 住民税ゼロ | 155万円以下 |
| 扶養に入れる(不要控除対象) | 168万円以下 |
また、70歳以上の場合は扶養控除額が最大48万円まで増えます。
社会保険の壁にも注意が必要
税金とは別に、「社会保険の壁」もあります。
- 106万円の壁:従業員数51人以上の会社で勤務すると社会保険加入義務あり
- 130万円の壁:配偶者や親の社会保険から外れて自分で国保・年金加入の必要あり
- 年金受給者は180万円の壁:健康保険の扶養に入りたい場合の上限
FAQ
Q1: 年収160万円でも扶養に入れないのはなぜ?
A1: 所得税は0円ですが、「扶養判定基準」が合計所得58万円だからです。
Q2: 学生は103万円までしか働けないのでは?
A2: 2025年以降は150万円まで控除対象です(対象年齢:19〜22歳)。
Q3: フリーランスは何を基準に扶養判定される?
A3: 収入から経費を引いた「所得」が58万円以下であれば扶養に入れます。
Q4: 年金生活者は何円まで扶養に入れる?
A4: 所得が168万円以下なら扶養控除対象。健康保険の扶養なら180万円未満が目安です。
まとめ
2025年から「年収の壁」は複雑化し、単純に103万円以下で安心という時代ではなくなりました。
| タイプ | 所得税ゼロ | 扶養判定 |
|---|---|---|
| 配偶者・学生 | 160万円 | 123万円 |
| 自営業 | 所得95万円 | 所得58万円 |
| 年金生活者 | 205万円 | 168万円 |
また、社会保険の壁(106万・130万・180万)にも注意が必要です。
扶養に入っていれば税制面・社会保険面で大きなメリットがありますので、自分や家族の立場に合わせて、年収・所得の管理と見直しが重要です。

