2025年、パートやアルバイトで働く人にとって重要な「年収の壁」がまた変わろうとしています。特に注目されているのが「130万円の壁」。社会保険や扶養の条件に大きく関わるこの壁が、学生には「150万円」へ変更されるなど、制度が複雑化しています。本記事では、初心者にもわかりやすく「106万円の壁」との違い、130万円の壁の最新動向、そして今後の対策について解説します。
※2025年6月時点の情報です。今後変更になる場合があります。
「130万円の壁」とは何か?
社会保険の扶養を外れる基準
130万円の壁とは、配偶者や親の扶養に入っている人が年収130万円を超えると、社会保険(健康保険・年金)の扶養から外れ、自分で保険料を支払う必要があるという制度です。
- 通勤手当や賞与も含めて年収130万円を超えると、原則「国民健康保険」と「国民年金」に自分で加入。
- 年間の保険料負担は配偶者なら約33.6万円、子供なら約12.6万円にもなることがあります。
130万円の壁は全ての規模の会社に影響
106万円の壁は、従業員数が一定数以上の会社に限られますが、130万円の壁はすべての健康保険制度に適用されるため、影響範囲が非常に広いのが特徴です。
「106万円の壁」との違い
106万円の壁の正体
「106万円の壁」は、パートやアルバイト先の社会保険に強制加入となる年収基準です。
- 対象は従業員51人以上(2027年以降は36人以上)の企業。
- 月収8万8,000円を超えると対象になる。
- 会社と従業員が保険料を折半で支払うため、年収106万円でも約16万円の負担になることも。
20時間の壁に移行予定
2025年以降、106万円という基準は廃止され、「週20時間以上働くかどうか」で判断されるようになります。
新制度「事業主証明書制度」とは?
2年限定の特例から恒久制度へ
2023年10月から導入された「事業主証明書制度」は、一時的に年収が130万円を超えても扶養から外れなくて済む特例措置でした。
- パート先の事業主が「一時的な収入増」と証明することで、最大2年間は扶養のままでOK。
- ただし、以下のようなケースでは使用不可:
- 雇用契約が変更された場合(例:週3日→週4日)
- 時給アップが恒常的な場合
- フリーランス、自営業、業務委託(雇用主がいない)
2025年からはこの制度が恒久化される見通しとなっています。
制度の普及率はまだ低い
動画でのアンケート調査によると、「知ってはいるが使っていない」や「そもそも知らない」という回答が多数。制度を利用できる人が少ない理由として以下が挙げられます:
- 制度自体が知られていない
- 配偶者手当や家族手当の制限がそのまま
- 夫の勤務先の健康保険組合が拒否
- 会社側が非協力的
【2025年最新】130万円の壁に関する3つの重要改正
① 130万円の壁の事業主証明制度が恒久化
一時的な制度だった「事業主証明書制度」が、2025年以降は恒久制度として整備される予定です。これにより、収入が一時的に増えただけで即座に扶養から外れることは避けられるようになります。
② キャリアアップ助成金の対象に
130万円の壁に対応する企業に対し、最大75万円の助成金が2年間支給される制度が開始予定(2025年7月〜)。ただし、対象は限られ、会社規模が小さい場合は利用が難しいケースも。
③ 学生限定で「150万円の壁」へ引き上げ
2025年10月からは、19歳〜22歳の学生を対象に扶養の年収制限が130万円から150万円に緩和されます。これは税制改正に連動したもので、社会保険側でも追従する形となります。
FAQ
Q1: 130万円の壁は全員に関係ありますか?
A1: 親や配偶者の扶養に入っている人は該当します。特に扶養内で働くパート・アルバイトの方は要注意です。
Q2: 106万円の壁と130万円の壁、両方気にする必要ありますか?
A2: 勤務先の規模や状況によっては、どちらも関係する可能性があります。どちらの制度が適用されるか事前に確認しましょう。
Q3: 学生も130万円の壁を気にする必要がありますか?
A3: 2025年10月からは、学生は150万円まで扶養のまま働ける制度が導入される予定です。
まとめ
「130万円の壁」は、パートやアルバイトとして働く方にとって、扶養の継続可否や保険料負担に直結する重要な制度です。2025年には以下のような大きな変化があります:
- 一時的な収入増に対応する事業主証明制度の恒久化
- キャリアアップ助成金の新設
- 学生限定での150万円の壁導入
扶養内で働くことを前提にしている方は、今後の法改正に備え、勤務先や配偶者の勤務先としっかり相談しておくことが重要です。