春を迎え、北海道内ではヒグマの冬眠明けに伴い、市街地での目撃情報が増えてきました。特に今年は昨年の「エサの豊作」の影響で子グマの出産数が多くなると予想され、親子グマや若い個体の行動に注意が必要です。この記事では、ヒグマ出没の背景や、私たちにできる対策について解説します。
ヒグマの市街地出没が増える理由
1. 昨年のエサ(ドングリなど)豊作の影響
2024年はドングリなどの木の実が豊作で、ヒグマの栄養状態が非常に良好でした。これにより、冬眠中に出産される子グマの数が増えたと考えられています。
- 豊作の翌年は「多産傾向」がある
- 栄養が行き届き、母グマの育児行動が活発化
このような年は、親子グマの活動範囲が広がることが多く、山から人里への接近が増える傾向にあります。
2. 若い雄グマの行動範囲拡大
初夏になると、若い雄グマは交尾のために広範囲を移動します。その過程で、市街地に迷い込むケースが見られます。実際に2021年には札幌市東区で4人が襲われる事故が発生しました。
3. 冬眠明けは食欲旺盛で活発に行動
春先は、ヒグマが冬眠明けに体力と栄養を回復するため活発に動きます。雪の下に残るドングリを食べたり、新芽を探して移動したりと、行動範囲が広くなります。
2025年春のヒグマ出没状況と現場の声
- 2025年1月~3月27日までのヒグマ通報件数は54件(前年同期より減少)
- しかし北海道全体でヒグマは冬眠から目覚めており、今後増加する可能性が高い
- 現在の生息数は推定で約12,200頭とされ、1990年の約2倍に増加
空知地方のハンターによると、「ヒグマは今、栄養を補給している最中。まもなく行動が活発になる」とのことです。
ヒグマ出没への対策と取り組み
春期管理捕獲の実施
北海道では、1990年に廃止された「春グマ駆除」に代わり、2023年から「春期管理捕獲」を開始。2~5月の間に限定的に捕獲が行われています。
- 2023年:20頭
- 2024年:14頭(3月時点)
この取り組みでは、若手ハンターの育成も兼ねており、ベテランとの同行による技術継承が目的の一つです。
ハンターによる「プレッシャー効果」
ハンターが山に入ることで、ヒグマに「人間の存在」を意識させ、人里に下りてこないようにする心理的プレッシャー効果も狙っています。
市民レベルでの注意点
- 山菜採りやハイキング前に、地元自治体の注意喚起情報を確認
- 子グマを見つけても絶対に近づかない(近くに母グマがいる可能性)
- 鈴やラジオで音を立てるなど、自分の存在をアピールする行動が大切
FAQ
Q1:ヒグマはどんな時間帯に出没するの?
A1:朝夕の薄暗い時間帯が多いですが、日中に現れることもあります。
Q2:ヒグマに遭遇したらどうすればいい?
A2:走って逃げず、ゆっくりと後退しながら距離を取るのが基本です。大声を出したり石を投げるのはNG。
Q3:市街地に出たヒグマはどう対処されるの?
A3:原則として捕獲または駆除されますが、安全確保が最優先されます。
Q4:子連れのグマは特に危険?
A4:はい、子グマに手を出すと母グマが攻撃してくる可能性が高く、非常に危険です。
まとめ
2025年春は、ヒグマの市街地出没が例年以上に増える可能性が指摘されています。特に豊作の翌年は、母グマが多産となり、子連れで行動するケースが増えるため、注意が必要です。
個人レベルでも山に入る際のリスク管理や、ヒグマへの正しい知識を持つことが大切です。道内の対策機関やハンターたちの努力とともに、私たち一人ひとりが安全への意識を高めることが求められています。