つらい出来事を忘れられずに苦しんでいる人は多いでしょう。特にメンタルが弱いと感じる人や、過去のトラウマを抱えている人は、「忘れたほうがいいのか、それとも向き合うべきなのか」と悩むことがあるかもしれません。
精神科医の樺沢紫苑先生によると、答えは「両方が大切」だといいます。本記事では、ネガティブな出来事との向き合い方や、効果的な心の整理方法について解説します。
つらい出来事を何度も話すのはNG?記憶の強化につながる
嫌な記憶を忘れたいのに、何度も思い出してしまうことはありませんか?実は、ネガティブな出来事を繰り返し話すことで、記憶が強化されてしまうのです。
つらい記憶が強く残る理由
- 嫌な出来事を何度も話すことで、脳が「重要な情報」として記憶に定着させてしまう
- 2週間で3回以上話すと、強烈に記憶に刻まれてしまう
- ネガティブなことばかり考えていると、さらに悪いことを探してしまいがち
つまり、何度もつらい体験を語ることで、脳は「この情報は重要だ」と判断し、さらに忘れにくくなるのです。
失敗やつらい経験は「フィードバック」に変えよう
では、つらい出来事はどう処理すればいいのでしょうか?樺沢先生が提唱するのは、「フィードバックによる経験化」です。
フィードバックの方法
- 1回だけアウトプットする
- 友人やノートに書き出すなど、1回だけ吐き出す
- なぜ失敗したのかを分析する
- どこが問題だったのか?改善点は?
- 教訓を得たら、つらい記憶は忘れる
- 重要なのは教訓だけ。出来事そのものは思い出さなくてOK
この「フィードバック」を行うことで、失敗やつらい経験は「成長の糧」に変わります。ただ闇雲にアウトプットするのではなく、「教訓を抽出すること」が大切です。
ポジティブ思考の誤解と本当の意味
ポジティブ思考と聞くと、「とにかく明るく」「前向きに考える」といったイメージを持つかもしれません。しかし、樺沢先生によると、これは誤解だといいます。
間違ったポジティブ思考の例
- 「うまくいくはず!」と根拠なく楽観視する
- 失敗を無視して、前向きな言葉だけを並べる
正しいポジティブ思考とは?
- 現実を正しく捉えること(ニュートラルな視点)
- ネガティブな感情を否定しすぎない
- 「ネガティブ1に対してポジティブ3〜5」のバランスを取る
ポジティブ思考とは、「無理やり楽観的になること」ではなく、「現実を冷静に受け止めつつ、前向きに行動すること」なのです。
趣味や遊びがメンタルに与える影響
つらい過去と向き合った後は、楽しい時間を増やすことも大切です。
なぜ遊びや趣味が重要なのか?
- アセチルコリンが分泌され、ひらめきや創造性が高まる
- ストレス解消効果があり、脳がリフレッシュされる
- フロー状態(ゾーン)に入ると、集中力や幸福感が高まる
例えば、楽器の演奏や読書、新しい場所への旅行など、「没入できる趣味」を持つことで、メンタルが安定し、仕事や日常生活にも良い影響を与えます。
FAQ
Q1. つらい出来事を無理に忘れようとすると逆効果?
A. はい。忘れようと意識すればするほど、脳は「その出来事は重要だ」と認識してしまいます。無理に押さえ込むのではなく、一度しっかり受け止め、フィードバックした上で手放しましょう。
Q2. ネガティブなことを話してもいい?
A. 1回だけならOKです。ただし、何度も繰り返し話すと記憶が強化されてしまいます。話した後は、ポジティブなフィードバックに切り替えましょう。
Q3. ポジティブ思考とは「楽観的に考えること」ではない?
A. その通りです。ポジティブ思考とは「現実を正しく捉え、前向きに行動すること」です。ただの楽観主義とは異なります。
まとめ
- つらい出来事を何度も話すと記憶が強化されるため、1回だけアウトプットする
- 重要なのは「フィードバック」で、失敗を成長の糧に変えること
- ポジティブ思考とは「現実を冷静に受け止め、前向きに行動すること」
- 趣味や遊びを取り入れることで、脳を活性化しメンタルを安定させる
つらい記憶と向き合いながら、ポジティブな視点を持ち、日常生活を豊かにしていきましょう。