2024年1月、大学受験予備校「ニチガク(日学)」が突如として破産し、多くの受験生や保護者に衝撃を与えました。受験直前のこのタイミングで、なぜ予備校が経営破綻してしまったのでしょうか?本記事では、ニチガク破産の原因や背景、受験生への影響、そして予備校業界全体の課題について詳しく解説します。
ニチガクとは?どんな予備校だったのか
**ニチガク(日本学園予備校)**は、東京都西新宿に校舎を構える大学受験予備校で、創業40年以上の歴史を持っていました。
- 少人数制の対面授業に特化
- 医学部・難関大合格者を多数輩出
- 過去には200人以上の生徒が在籍
特に、偏差値がそれほど高くない生徒でも推薦入試や合格率の高い指導で難関大学へ導くことで知られていました。しかし、近年の生徒数の減少や経営戦略の失敗が破産の引き金となったようです。
ニチガクが破産した理由
1. 少子化・コロナの影響による生徒数の減少
ニチガクは、かつて200人以上の生徒を抱えていましたが、2024年には130人程度まで減少していました。その背景には、
- 少子化による大学受験生の減少
- コロナ禍で対面授業を避ける家庭が増加
- オンライン塾・予備校の台頭による競争激化
などの影響がありました。少人数制を売りにしていたため、生徒が減ると収益が大きく落ち込む構造だったのです。
2. 設備投資の失敗(医学部コースの新設)
2023年4月、経営立て直しのために「医学部コース」を新設。
- 別のビルの2階~5階を借りて運営
- 設備投資や宣伝費がかさむ
- しかし、生徒が思ったほど集まらず赤字
結果的に、経営の負担を増やすだけになってしまいました。
3. 給与の未払い問題
破産直前には、講師やアルバイトの給与が遅延する事態も発生。
- 2023年12月10日に支払われるはずの給与が延期
- 12月30日になっても支払われず、講師陣の不満が高まる
- 2024年1月4日、突然の破産・閉鎖が告知される
受験直前にも関わらず、予備校が突然閉鎖されたことで、生徒や保護者は大きな混乱に巻き込まれました。
4. 経営者の資質の問題
2023年4月に新たな社長が就任しましたが、その経営判断が裏目に。
- 高額な医学部コースを導入するも失敗
- 競馬好きで浪費が激しかったとの噂も
- 10月には別の社長に交代し、1月に破産
短期間で社長が交代し続けたことで、経営方針が安定せず、組織が混乱していた可能性が高いです。
受験生への影響と救済措置
受験直前で行き場を失った生徒たち
突然の閉鎖により、130名以上の受験生が学習環境を失うことに。
- 受験直前の大事な時期に授業が受けられない
- 支払った授業料の返金も不透明
- 推薦入試対策などのフォローも消滅
このように、受験生にとって非常に厳しい状況となりました。
他予備校による救済措置
「学研プライムゼミ」などのオンライン予備校が、ニチガク生を受け入れる救済措置を発表。
- オンライン授業で受験対策を継続
- 一部費用免除や特別プログラムを用意
ただし、対面授業に慣れていた生徒にとって、オンライン授業への移行は難しい面もあるため、完全な救済とは言い難い状況です。
予備校業界の今後と中小企業への教訓
予備校業界の現状
現在、塾・予備校業界は競争が激化しており、今後も生き残りが難しい時代になっています。
- 少子化で市場縮小
- 大手予備校やオンライン塾がシェア拡大
- 対面型の中小予備校は経営が厳しくなる
企業経営に活かせるポイント
1. 「新しいことを始める」より「無駄を省く」
経営が厳しい時には、コスト削減が最優先。
→ 無駄を省かず、設備投資を増やしたことがニチガクの失敗でした。
2. 競争が激しい業界では「差別化」が重要
オンライン予備校が増える中で、対面授業の強みをどう活かすかが鍵でした。
→ 差別化がうまくできず、競争に負けてしまった。
3. 経営者の選び方を間違えると会社が傾く
競馬好きで浪費癖のある社長を任命したことで、状況がさらに悪化。
→ 経営の専門知識を持つ人材を選ぶことが重要。
まとめ
ニチガク破産のポイント
- 生徒数の減少(少子化・コロナの影響)
- 高額な医学部コースの設備投資が失敗
- 給与の未払い問題が発生
- 経営者の判断ミスが連続
- 突然の閉鎖で受験生が大混乱
今回の破産は、経営の甘さが招いた結果とも言えます。今後、予備校業界はより厳しい競争が続くため、差別化や経営戦略の見直しが必要でしょう。
受験生にとっては非常に辛い出来事ですが、救済措置を活用しながら、なんとか志望校合格を目指して頑張ってほしいと思います。

