「もっと相手にうまく伝えたい…」「説得しようとしてもなかなか動いてくれない…」そんな悩みを抱えていませんか?
例えば、子供に「勉強しなさい!」と言っても全然やる気を出してくれない。部下に「もっと積極的に動け!」と指示しても行動が変わらない。友人におすすめの本を熱心に紹介しても、なかなか読んでくれない。こんな経験は誰にでもあるはずです。
本書『THE CATALYST(ザ・カタリスト) 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』では、「人を動かすためには、説得するのではなく“変化を妨げる障害を取り除く”ことが大切」だと説いています。著者はペンシルベニア大学の教授であり、AppleやGoogleのコンサルタントも務めるジョーナ・バーガー氏。
本記事では、この本のエッセンスを具体例を交えながらわかりやすく解説します!
人の行動を変えるための6つの方法
1. 説得しない:「押す」ほど人は動かなくなる
人は「自分で決めたい」という強い欲求を持っています。だからこそ、誰かに押し付けられると本能的に反発したくなるのです。
例えば、ダイエットを始めようとしている友人に「運動しろ!」「このサプリを飲め!」と強くすすめると、逆に嫌がられてしまうことがありますよね。これは、人が自分の意思で決めたいという心理を持っているからです。
また、店員にしつこく営業されると買いたくなくなるのも同じ理由。人は「買いたい」と思うのではなく、「買わされる」と感じると拒絶してしまうのです。
2. 選択肢を提示する:「どれがいい?」と聞く
1つの行動を押し付けるのではなく、いくつかの選択肢を与えることで、相手が「自分で決めた」と感じられるようにすることが大切です。
例えば、レストランを決めるときに「今日は焼肉にしよう!」と決めつけるより、「寿司と焼肉とパスタならどれがいい?」と聞く方がスムーズに決まりますよね。これなら、相手も自分の意思で決めたと感じられるため、納得しやすくなります。
勉強の例でも、「今すぐ数学を勉強しなさい!」と言うのではなく、「英語と数学、どっちから始める?」と選ばせることで、やる気を引き出すことができます。
ポイント:選択肢は2〜3個がベスト。それ以上増やすと、逆に決められなくなってしまうこともあるので注意!
3. 将来の目標について質問する:「どうなりたい?」
人は「押し付けられる」と反発する一方で、自分で答えを導き出したものには納得しやすくなります。そのため、指示や命令ではなく「質問」をするのが効果的です。
例えば、親が子供に「もっと勉強しなさい!」と命令するよりも、「将来どんな仕事をしたい?」と質問する方が効果的。その答えから、「その仕事に就くためには、どんな勉強が必要かな?」と考えさせることで、自然と勉強に向かう可能性が高まります。
また、上司が部下に「もっと積極的に行動しろ!」と命令するのではなく、「君が目指すキャリアは?」と聞き、そのために今やるべきことを考えさせるのも有効です。
4. 現状維持のリスクを意識させる
人は「何かを得られる可能性」よりも「何かを失うリスク」に敏感です。だからこそ、何もしないことで生じるリスクを伝えるのは有効な手段になります。
例えば、健康診断を嫌がる人に対して「今のうちに検査しないと、手遅れになるかもしれない」と伝えたり、投資をためらう人に「今のまま銀行にお金を預けておくだけでは、インフレで価値が目減りしてしまう」と話すと、行動を起こしやすくなります。
ポイント:相手の心理を理解し、「今動かないことのリスク」を伝えることで、行動を後押しする。
5. 信頼関係を築く:「この人の言うことなら信じられる」
誰かの言葉を受け入れるかどうかは、その人との信頼関係に大きく左右されます。
例えば、新しいイタリアンレストランを見つけたとき、雑誌に「絶品の味!」と書かれていても「本当かな?」と思いますよね。でも、信頼できる友人が「あそこのパスタ、マジで美味しかった!」と言えば、試してみたくなるものです。
信頼を築くためには、相手の話をしっかり聞くことが重要です。FBIの人質交渉人は、犯人を説得する前に、まず相手の話をじっくり聞いて信頼関係を築きます。信頼がなければ、どんなに正しいことを言っても相手には届きません。
6. 変化のハードルを下げる:「お試し」できる環境をつくる
人は「失敗したくない」「損をしたくない」という気持ちが強いため、新しい行動を取ることに慎重になります。
例えば、新しい電力会社への乗り換えを勧められても、手続きが面倒だったり、「本当にお得なの?」と不安になったりして、なかなか踏み切れません。
そこで、「初月無料」「お試し期間あり」「いつでも解約可能」といった形でハードルを下げると、試しやすくなります。ゲームの無料体験版や、スーパーの試食販売などがその典型的な例ですね。
まとめ
人の行動を変えたいなら、 説得ではなく「変化の障害を取り除く」こと が大切です。そのためには:
- 説得しない(押し付けず、相手に選ばせる)
- 選択肢を提示する(2〜3個の選択肢を与える)
- 質問する(目標を聞き、行動を引き出す)
- 現状維持のリスクを伝える(何もしないデメリットを示す)
- 信頼関係を築く(相手の話を聞く)
- ハードルを下げる(お試し・無料体験を活用)
この方法を活用すれば、相手の行動を変えるだけでなく、自分自身の行動も変えやすくなります。ぜひ試してみてください!

