「ブックオフが閉店ラッシュ」とのニュースに驚いた方も多いのではないでしょうか。確かに全国の店舗数は減少傾向にありますが、実はブックオフは今、過去最高レベルの業績を記録しており、着実に成長を遂げています。本記事では、閉店の背景から戦略的な事業転換、そして中小企業が学ぶべきポイントまで、財務の専門家の視点を交えて分かりやすく解説します。
ブックオフ大量閉店は本当?その実態を解説
「ブックオフが潰れてる」といった印象を持つ人も多いですが、これは“本専門の小規模店舗”が閉店しているという話です。
- かつては全国に約1,100店舗(2010年)
- その後、書籍需要の低下で本専門店は減少
- 2024年時点では「純粋なブックオフ」は約80店舗減
しかし、実際には「ブックオフスーパーバザー」や「ブックオフプラス」といった大型・多品目対応型店舗が増加中。総店舗数は2024年で834店舗に回復しています。
なぜブックオフは本専門から総合リユースへ事業転換したのか?
背景には、時代の大きな変化がありました。
1. 紙の本の需要低下
- 電子書籍の普及
- 動画・SNSの台頭による活字離れ
2. Amazonの影響
- 書籍の購入チャネルがAmazonに集中
- 実店舗型のブックオフは売上を圧迫される
3. リユース需要の多様化
- 中古家電、衣類、ブランド品などへの需要増加
- ユーザーの「まとめ買い」「リアル確認ニーズ」に対応
その結果、ブックオフは本のリユースに加え、総合リユース型店舗への事業転換を進め、成長に成功したのです。
ブックオフの現在の業績は?
2024年、ブックオフは以下のような過去最高レベルの業績に迫っています。
- 売上高:約1,100億円
- 営業利益:約30億円
- 最終利益:約17億円
この業績回復を支えているのが、「ブックオフスーパーバザー」や「ブックオフプラス」といった新業態の出店です。郊外型の大型店舗が家族連れやリユースニーズにマッチし、再びブックオフのブランドを活性化させています。
ハードオフとの関係や誤解も明らかに
多くの人が「ブックオフとハードオフは同じ会社」と思いがちですが、実は別会社です。
- ブックオフ:創業者は坂本孝氏、主に書籍中心から総合リユースへ転換
- ハードオフ:創業者は山本善政氏、家電・楽器などの専門リユース
両社は一時期フランチャイズで提携しており、同じ店舗で営業していたこともありましたが、現在はそれぞれ独自に展開しています。
中小企業が学べるブックオフの成功戦略
ブックオフの事業転換から学べる教訓は多くあります。
- 時代の変化に柔軟に対応する力
- 既存資源(FCの経験)を新事業に活用する戦略性
- リアル店舗の価値再発見
中小企業も、FC(フランチャイズ)でノウハウを学び、時代に合った業態へと進化させることが、持続可能な経営のカギになるでしょう。
FAQ
Q1: ブックオフは本当に潰れているのですか?
A1: 「本専門店」は減少していますが、総合リユース型の新業態は増加しており、業績はむしろ回復基調にあります。
Q2: どのような商品が今のブックオフで売られていますか?
A2: 書籍に加えて、中古衣料、家電、ブランド品、雑貨、ゲーム、楽器など幅広い商品を扱っています。
Q3: 今後のブックオフの見通しは?
A3: 郊外型の大型店舗展開と多様な中古品ニーズへの対応により、さらなる業績向上が期待されています。
まとめ
「ブックオフが大量閉店」というニュースに不安を感じた方もいるかもしれませんが、実態は“時代に合わない旧業態の整理”であり、新たな成長のステップでした。柔軟な業態転換と時代のニーズを見据えた戦略によって、ブックオフはむしろ過去最高益に迫る復活を遂げているのです。
今後もリユース市場は拡大傾向にあるため、ブックオフの動向には注目が必要です。そして、こうした柔軟な事業転換は、多くの中小企業にとっても大いに参考となるでしょう。

