2025年から、「年収の壁」が大きく変わるのをご存知ですか?
これまで「103万円」「130万円」といった基準で働き方を調整していたパート主婦や学生バイトの方にとって、大きな影響が出る変更が始まります。
特に扶養控除や社会保険、住民税の負担が変わることになるので、知らずに働いていると手取りが減ってしまうことも。
この記事では、2025年から変わる新しい「年収の壁」について、わかりやすく解説します。
※2025年5月発表時点の情報です。内容は今後変更になる場合があります。
年収の壁が変わる理由とは?キーワードは「基礎控除の見直し」
これまで、「所得税がかからないライン」は年収103万円が目安とされてきました。
これは「基礎控除48万円」+「給与所得控除55万円」によって決まっていた数字です。
しかし、2025年からはこの計算方法が変わります。
新たな控除ルール
- 基礎控除:最大95万円(収入に応じて段階的に減少)
- 給与所得控除:最大65万円(年収190万円以下)
これにより、103万円の壁は「160万円の壁」に変わることになります。
つまり、年収160万円までは所得税がかからないということになります(条件による)。
パート主婦が気をつけたい「3つの年収の壁」
パートやアルバイトで働く人は、所得税だけでなく「住民税」や「社会保険」にも注意が必要です。ここでは、特に重要な3つの年収の壁をご紹介します。
① 106万円の壁(社会保険加入義務)
以下の条件をすべて満たすと、106万円を超えた時点で社会保険に強制加入となります。
- 週20時間以上の勤務
- 従業員数が51人以上の企業で働いている
- 月収8.8万円以上(年収換算106万円以上)
加入すると将来的に年金受給額が増えるなどのメリットもありますが、毎月の手取りが減るため注意が必要です。
② 130万円の壁(扶養から外れる)
従業員数50人以下の企業で働く人や、社会保険に加入していない人が年収130万円を超えると、配偶者の扶養から外れます。
その場合、自分で以下の負担が必要になります:
- 国民年金:約20万円/年
- 国民健康保険:地域によって異なるが約13万円/年
合計すると、年間30万円以上の負担増になることもあります。
③ 160万円の壁(所得税が発生)
年収が160万円を超えると、所得税の課税対象になります。
とはいえ、社会保険料などの控除があるため、実際に税金が発生するのは190万円以上からの場合が多いです。
また、このラインを超えると夫(または親)の配偶者控除が減額または消滅し、世帯全体での手取りが減るケースもあります。
学生や子どもの扶養にも影響する「123万円と150万円の壁」
学生や子どもがアルバイトをしている家庭にも、次のような影響が出ます。
学生以外の扶養家族:123万円の壁
- この金額を超えると親の扶養控除が受けられなくなり、約10万円の税負担増。
学生(19~22歳):150万円の壁
- 150万円を超えると、段階的に親の扶養控除が減少し、最大17万円以上の税負担増となります。
地域によって違う「住民税の壁」
住民税がかかり始める年収ラインも地域で異なります。
- 東京23区:110万円
- 地方によっては103万円や108万円
「税金はかかっていないつもりだったのに、住民税が引かれていた!」というケースもあるので、お住まいの自治体の公式サイトで確認しておきましょう。
FAQ
Q1:年収160万円以内なら安心ですか?
A1:所得税はかかりませんが、住民税や社会保険には注意が必要です。特に扶養控除が段階的に減っていくことにも留意しましょう。
Q2:社会保険に加入したら手取りがかなり減る?
A2:一般的に手取りは15%以上減少しますが、将来の年金や保険給付が手厚くなるというメリットもあります。
Q3:学生バイトも税金を払わなければいけない?
A3:年収110万円を超えると住民税が、134万円を超えると所得割が発生します。ただし、正社員並みに働かない限り社会保険加入義務はありません。
まとめ
2025年から始まる「年収の壁」の変更は、パート主婦や学生バイトにとって重要な影響を与える制度改正です。
| 年収の壁 | 影響内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 106万円 | 社会保険加入義務(従業員51人以上) | パート主婦・バイト |
| 110万円 | 住民税の発生 | 全員(地域による) |
| 123万円 | 親の扶養控除消滅 | 学生以外の子ども |
| 130万円 | 社会保険から外れる | 扶養家族全般 |
| 150万円 | 学生の親の扶養控除が段階的に減少 | 学生 |
| 160万円 | 所得税が発生(実際は190万〜) | 全員 |
今後も法改正の可能性があるため、最新情報を継続的にチェックし、自分や家族の働き方・雇用形態に合わせた最適な収入管理を行いましょう。

