2025年2月18日、自民党が「103万円の壁」の引き上げに関する新たな案を提示しました。しかし、この提案に対し「ふざけた案だ」「国民を助ける気がない」との批判が噴出しています。
特に、国民民主党や公明党までもがこの案に反対するなど、国会内外で大きな議論を呼んでいます。本記事では、この自民党の提案の問題点をわかりやすく解説します。
そもそも「103万円の壁」とは?
「103万円の壁」とは、パートやアルバイトで働く人が年収103万円を超えると所得税が発生する制度のことです。この壁を意識するあまり、多くの人が働く時間を調整し、労働時間の抑制や手取りの減少といった問題が発生しています。
この問題を解決するために、「103万円の壁の引き上げ」が議論されていましたが、自民党が提示した新たな案に批判が集中しているのです。
自民党の新提案とは?
自民党が発表した案は、「年収200万円以下の人に限り、課税基準を160万円に引き上げる」というものです。
さらに、年収によって課税基準の引き上げ額が異なります。
| 年収 | 課税基準の引き上げ額 |
|---|---|
| 200万円以下 | 160万円に引き上げ |
| 200万~500万円 | 136万円に引き上げ |
| 500万円超 | 変更なし |
この案に対し、多くの国民や政治家から「中途半端な対応だ」との批判が出ています。
自民党の提案の何が問題なのか?
1. 対象者が少なすぎる
この制度の影響を受けるのは、年収200万円以下の労働者のみです。そのため、恩恵を受けるのはわずか約300万人とされており、大多数の労働者にはほとんど影響がありません。
例えば、年収300万円の人の場合、減税額は年間わずか1万円。これでは、物価高に苦しむ国民の負担を軽減するには程遠いものです。
2. 「新たな壁」を作るだけ
もともと「103万円の壁」が問題になっていたのに、新たに「200万円の壁」「500万円の壁」を作るだけの結果になっています。
例えば、年収200万円の人が少しでも収入を増やして200万円を超えると、税負担が増えてしまい、逆に損をするケースが出てくる可能性があります。
つまり、働けば働くほど損をする「逆転現象」が再び起こるのです。
3. 高所得者への対応が一切ない
年収500万円以上の人には一切の優遇措置がありません。
現在の経済状況では、中間層も物価高や税負担の増加に苦しんでいます。 しかし、今回の提案では中間層への減税がほとんど考慮されていません。
野党や国民の反応
国民民主党・玉木代表のコメント
国民民主党の玉木代表(現在は休養中)もこの案に猛反対。
「年収200万円以下の人しか対象にならない?これでは国民のほとんどが救われない」
と批判しています。
また、国民民主党は「基礎控除を178万円まで一律に引き上げるべき」と主張しており、今回の自民党案とは大きく異なる立場を取っています。
公明党も批判
通常、自民党と連携することが多い公明党ですら、この案には批判的な立場を取っています。
「これでは国民の負担軽減にならない」
と指摘し、見直しを求めています。
本当に必要な対策とは?
今回の自民党の提案は、「国民を助ける気がない」と言われても仕方がない内容です。では、国民の生活を本当に支援するためには、どのような対策が必要なのでしょうか?
1. 基礎控除を一律178万円に引き上げる
国民民主党が提案しているように、すべての労働者に対して課税基準を178万円に統一することで、壁の問題を解決できます。
この方法であれば、特定の年収層だけが優遇されることなく、より公平な減税が実現できます。
2. 消費税の引き下げ、もしくは廃止
そもそも、多くの国民が苦しんでいるのは物価高と消費税の負担です。
- 消費税を一時的に8%や5%に引き下げる(廃止も視野)
- 生活必需品に軽減税率を適用する
こうした措置があれば、国民全体の負担が大幅に軽減されるでしょう。
3. 手取りを増やす政策を推進
現在の日本では、給与が上がっても税金や社会保険料の負担増で手取りが増えません。
- 社会保険料の減免措置
- 住民税の軽減
- 低所得層向けの給付金制度の充実
こうした「手取りを増やす」政策を進めることが、より実効的な対策となるでしょう。
まとめ
今回の自民党の「103万円の壁」引き上げ案は、対象者が少なく、国民の負担軽減にはほとんど役に立たないものでした。
- 対象は年収200万円以下のみで、わずか300万人程度しか恩恵を受けない
- 「200万円の壁」「500万円の壁」という新たな壁を作るだけ
- 高所得者・中間層への支援が一切なし
このような「小手先の対策」では、多くの国民の生活は救えません。
本当に必要なのは、基礎控除の一律引き上げや消費税減税、手取りを増やす政策の推進です。
国民を本当に助ける政策を求める声を、もっと大きくしていくべき時ではないでしょうか?

