最近、街中で「からあげ専門店」を見かける機会が減っていませんか?数年前まで急増していたからあげ屋ですが、現在は多くの店舗が閉店に追い込まれています。なぜここまで激減したのか、その背景や要因を財務のプロの視点から解説します。また、消えていったからあげ屋が「次に何になっているのか?」についても探っていきます。
からあげ屋が急増した理由
からあげ屋が一気に増えた背景には、以下のような理由がありました。
1. 初期投資が少なく、開業しやすい
からあげ専門店は、調理工程がシンプルで、小規模な店舗でも運営できるため、比較的低コストで開業できます。フランチャイズ(FC)展開もしやすく、短期間で店舗数を増やすことが可能でした。
2. テイクアウト需要の急増
新型コロナウイルスの影響で、外食産業全体がテイクアウトを強化。その中でも、手軽に持ち帰れる「からあげ」は人気が高まりました。
3. 単純なオペレーション
揚げるだけで提供できるため、専門技術が不要で、アルバイトスタッフでも対応可能。飲食店の中でも運営が簡単な業態でした。
4. 成功モデルのコピーがしやすい
FC展開を活用して急速に拡大する企業が増加。「からあげの天才」や「からあげ専門店 鶏笑」など、多くのブランドが登場しました。
このように、からあげ屋は短期間で拡大しやすいビジネスモデルだったため、一気に店舗数が増えました。
からあげ屋が激減した理由
しかし、急成長の裏にはリスクも潜んでいました。以下のような要因で、多くのからあげ屋が撤退を余儀なくされています。
1. 競争の激化
急増したことで競争が過熱し、同じ地域にからあげ屋が乱立。結果として、客の取り合いが発生し、収益が悪化しました。
2. コロナ需要の減少
コロナ禍で伸びたテイクアウト需要も、外食の回復とともに減少。イートインの需要が戻ったことで、テイクアウト専門のからあげ屋は苦境に陥りました。
3. 原材料費・人件費の高騰
鶏肉価格が5年間で約20%上昇し、揚げ油の価格は70%も高騰。さらに最低賃金の引き上げも影響し、採算が取りづらくなりました。
4. 業態としての限界
唐揚げ単品だけでは収益性が低く、客単価を上げるのが難しい。セットメニューや新商品開発が求められるが、単なる唐揚げ屋では限界がありました。
このような理由から、多くの店舗が閉店を余儀なくされました。
からあげ屋はどこへ行ったのか?
では、閉店したからあげ屋の跡地はどうなっているのでしょうか?実は、別の業態に変化して生き残っているケースが多いのです。
1. サンドイッチ・ホットドッグ系に転換
例えば、「からあげの天才」を展開していたワタミは、「サブウェイ」を買収。からあげ店だった店舗をサブウェイに転換し、全国展開を目指しています。
2. クレープ・スイーツ店に業態変更
低コストで始められ、客単価が高いスイーツ業態も人気です。フルーツサンドやクレープ店に変更するケースも増えています。
3. おにぎり・カレーパン専門店
近年注目される「おにぎり専門店」や「カレーパン専門店」へと業態転換する店舗もあります。
このように、飲食業は「スクラップ&ビルド」を繰り返し、時代のトレンドに合わせて業態を変化させることで生き残っています。
まとめ
からあげ屋が激減した理由は、単なるブームの終焉だけでなく、競争の激化や原材料費の高騰、コロナ需要の変化が大きく影響しています。しかし、閉店したからあげ屋がそのまま消えたわけではなく、別の業態に変化して生き残っているケースが多いのです。
ポイントまとめ:
✅ からあげ屋はテイクアウト需要と低コスト運営で急増した
✅ 競争激化や原材料費高騰で多くの店舗が撤退
✅ 残った店舗はサブウェイやスイーツ業態に転換
飲食業界は変化のスピードが速く、流行に乗ることも重要ですが、撤退の決断や業態変更も生き残るための大切な戦略です。今後、からあげ屋の跡地がどのような業態に変化していくのか、引き続き注目していきましょう!

