塩分のとりすぎは体に悪いは嘘?塩分摂取と高血圧:減塩信仰を見直す時が来た理由

塩分摂取と健康のバランス 健康・美容・ダイエット

長年、「塩分の摂りすぎは高血圧の原因」と広く信じられてきました。しかし、近年の研究や論文では、この定説を疑問視する結果が次々と発表されています。本記事では、塩分と高血圧に関する最新のエビデンスをもとに、その関連性や誤解について掘り下げていきます。

1. 高血圧の原因は塩分ではない?

塩分犯人説の由来

1954年、アメリカのダール博士が行った調査で、塩分摂取量と高血圧の関連が指摘されました。しかし、この研究は5地域のデータに基づいており、統計的に限界があると批判されています。

さらに、1972年にはメーネリー博士がラットに過剰な塩分を投与して高血圧を誘発する研究を発表しましたが、その量は人間換算で1日500グラムにも及び、非現実的な設定でした。

2. エビデンスが示す意外な事実

大規模調査「インターソルトスタディ」の結果

1988年、英国ロンドン大学が32か国・約1万人を対象に行った調査では、1日の塩分摂取量が6~14グラムの範囲内では、高血圧との明確な相関関係が見られませんでした。これは、日本人の平均摂取量(約10~12グラム)と一致しており、「適量の塩分摂取は高血圧の原因ではない」という結果を示唆しています。

減塩で血圧が上がるケースも

1987年の米国ミラー博士らの研究によると、減塩を行った被験者の17%が逆に血圧上昇を示しました。この結果から、塩分摂取が必ずしも血圧に悪影響を与えるわけではないことがわかります。

最も衝撃的な論文

1985年、アルダーマン医師が英国医学誌「ランセット」に発表した研究では、塩分摂取量が多いグループ(1日8.94~12.80グラム)が脳卒中や心筋梗塞の発生率が最も低いという結果が報告されました。一方で、塩分摂取量が最も少ないグループでは、これらの病気のリスクが高まることが明らかにされました。

3. 食塩感受性の個人差

塩分摂取に対する反応は個人によって異なります。日本人の約2割は「食塩感受性」が高く、塩分摂取によって血圧が上がりやすい体質である一方、約5割は血圧にほとんど影響がないとされています。したがって、一律の減塩指導が適切でない可能性が指摘されています。

4. 減塩のリスク

減塩が引き起こす問題

極端な減塩は、血圧以外の健康リスクを増加させる可能性があります。

  • 認知機能低下:イタリアの研究では、降圧剤で血圧を低く抑えた高齢患者に認知機能の低下が見られました。
  • 性機能障害:降圧剤の一部はインポテンツ(ED)を引き起こすリスクが高いとされています。

5. 塩分の必要性

塩分は、人間の生命維持に必要不可欠な栄養素です。適切な塩分摂取は、以下のような役割を果たします:

  • 体液バランスの維持
  • 神経伝達の調整
  • 筋肉機能の正常化

6. 減塩信仰を見直すべき理由

日本の医学界では「減塩」が推奨されていますが、その根拠は最新のエビデンスと矛盾する場合があります。一律に塩分を控えるのではなく、個々の体質や健康状態に基づいた指導が求められています。

結論:適量の塩分摂取で健康を保とう

塩分の摂りすぎが悪いという従来の常識に囚われず、適量の塩分摂取が重要です。特に、極端な減塩がかえって健康リスクを増大させる可能性があることを理解する必要があります。減塩よりも、バランスの取れた食生活を心がけ、自分に合った健康管理を行いましょう。

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