ガソリン暫定税廃止が検討される一方で、政府・与党から「走行距離課税」を導入する動きが出ています。
しかし、この制度には多くの矛盾があり、国民目線で考えれば「おかしい」と言わざるを得ません。この記事では走行距離課税の問題点や、暫定税率・補助金との矛盾についてわかりやすく解説します。
走行距離課税とは何か?
走行距離課税とは、その名の通り「走った距離に応じて税金を課す仕組み」です。
例えば、1年間に1万km走ったらその距離に応じて課税されるという方式です。
導入が検討される背景には、以下の要因があります。
- ガソリン暫定税(1Lあたり25.1円上乗せ)が廃止されると税収が減少
- 電気自動車(EV)はガソリンを使わないため、現状ではガソリン税を負担していない
- 石油連盟など業界団体の要望
一見すると理にかなっているように見えますが、実際には多くの矛盾があります。
走行距離課税の問題点
1. すでにガソリン税が「走行課税」になっている
ガソリンを使った分だけ税金を払う仕組みこそが「走行課税」です。
しかも燃費の悪い車=CO2排出量の多い車ほど税金を多く払うため、環境面でも合理的です。
それをわざわざ複雑なシステムに変える必要はあるのでしょうか?
2. 徴収コストがかかりすぎる
- 車検時にオドメーターを確認して課税? → メーター改ざん業者が横行する恐れ
- GPS課金装置を導入? → プライバシーやコストの問題、一般乗用車には不向き
結果として、徴収のためのコストが税収以上に膨らむ可能性すらあります。
3. EV普及に逆行する政策
電気自動車の普及は国際公約(2030年までにCO2排出46%削減)を果たすために不可欠です。
それにもかかわらず「EVが道路の負担をしていない」という理由で課税するのは、普及にブレーキをかけるだけ。世界の流れに逆行しています。
4. 利権構造が見え隠れ
石油業界の要望を受けて政治が動いているとの指摘もあります。
ガソリン補助金(年間2兆円規模)は財源の議論もなく続けられている一方で、暫定税率廃止では「財源が必要」とされるのは矛盾です。
国民目線で考えるべき解決策
- 補助金の見直し
- ガソリン補助金は2022年から3年以上続けており、年間約2兆円。
- 暫定税率廃止による税収不足(1.5兆円)を十分カバーできる規模です。
- ガソリン税を再び特定財源化
- 本来、道路整備のための税金だったものを一般財源にしてしまったことが混乱の原因。
- 道路行政を見直し、本当に必要な道路に投資するべきです。
- 無駄な道路行政の整理
- 車がほとんど走らない農道・町道の維持にも巨額のコストがかかっています。
- 「身の丈に合った道路整備」への転換が不可欠です。
FAQ
Q1: EVに税金を課さないのは不公平では?
A1: EVも自動車税や重量税、高速道路料金などを負担しています。道路利用コストを全く払っていないわけではありません。
Q2: なぜ補助金は問題視されないのですか?
A2: 石油業界への補助金は政治的利権が絡んでおり、使途が不透明でも続けられています。一方で国民負担の減税は「財源がない」とされる矛盾があります。
Q3: 走行距離課税は世界では導入されていますか?
A3: 一部の欧州トラックで試験的にGPS課金がありますが、一般乗用車向けに本格導入している国はありません。
まとめ
- ガソリン暫定税の廃止は「税制の正常化」への一歩
- 走行距離課税は非効率・不公平で矛盾だらけ
- 本来は補助金の見直しや道路行政改革で対応すべき
結局のところ、走行距離課税は国民負担を増やすだけでなく、EV普及の妨げとなる可能性があります。
国民に新たな負担を求める前に、既存の補助金や利権構造を見直すことが本筋でしょう。

