コーヒーチェーンといえば、「ドトールコーヒー」と「コメダ珈琲」を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、近年この2つの企業には大きな差が生まれています。
ドトールはコロナの影響を大きく受け、店舗数が減少。一方、コメダ珈琲は店舗数を増やし続け、黒字経営を維持。
同じカフェ業界でありながら、なぜこれほどの違いが生じたのでしょうか?
この記事では、両社の経営戦略を比較し、その違いを解説します。
ドトールとコメダ珈琲の基本情報
ドトールコーヒーの特徴
- 主な店舗エリア:駅前・オフィス街が中心
- 主なメニュー:コーヒー、ミラノサンドなど軽食が中心
- 価格帯:コーヒーは250円~300円とリーズナブル
- 店舗スタイル:コンパクトな店舗が多く、席数も少なめ
コメダ珈琲の特徴
- 主な店舗エリア:郊外が中心
- 主なメニュー:コーヒー、シロノワール、ビーフシチューなど食事メニューも豊富
- 価格帯:コーヒーは460円~と高め
- 店舗スタイル:広い店内で、座席の間隔もゆったり
コロナ禍での影響の違い
ドトールはオフィス街中心で大打撃
ドトールは駅前やオフィス街に多くの店舗を構えており、コロナによるリモートワークの影響をもろに受けました。
出勤する人が減り、オフィス街のカフェの利用者も激減。結果として、店舗の閉鎖が続きました。
コメダ珈琲は郊外型でリモートワーク需要を獲得
一方、コメダ珈琲は郊外に店舗が多く、自宅近くのカフェとして利用する人が増加しました。
また、コメダは元々席の間隔が広く、ソーシャルディスタンスを保ちやすかったこともプラスに働きました。
経営戦略の違い
① フランチャイズ戦略の違い
- ドトール:直営店が多い(約20~25%がFC)
- コメダ:ほぼフランチャイズ(約95%がFC)
ドトールは直営店が多く、家賃や人件費といった固定費が大きな負担になりました。
一方、コメダはほぼフランチャイズ経営のため、本部の固定費が少なく、コロナ禍でも黒字経営を維持できたのです。
② 店舗の広さと客単価の違い
- ドトール:狭い店内、短時間利用が多い
- コメダ:広い店内、長時間利用する客が多い
コロナ禍で「密を避ける」傾向が強まる中、広い店内でゆったり過ごせるコメダが選ばれるようになりました。
また、コメダは食事メニューが充実しており、客単価が高いため利益率も高いという特徴があります。
③ メニューの違い
- ドトールの看板メニュー:ミラノサンド(食事メニューは少なめ)
- コメダの看板メニュー:シロノワール・カツサンド・ビーフシチューなど食事メニューが豊富
ドトールはどちらかというと「コーヒーがメイン」のお店ですが、コメダは「食事をしながらゆっくりできるカフェ」としての戦略を取っています。
食事メニューの充実が、売上増加につながりました。
④ テイクアウト戦略の違い
コロナ禍では、テイクアウトの売上が重要になりました。
- コメダ:テイクアウトを強化し、Uber Eatsなどのデリバリーにも対応
- ドトール:テイクアウトのイメージがあまり定着しなかった
この差が、コロナ禍での売上にも影響を与えました。
財務データから見る経営の違い
売上推移(2021年~2023年)
年度 | ドトール売上(億円) | コメダ売上(億円) |
---|---|---|
2021 | 961 | 288 |
2022 | 1,093 | 333 |
2023 | 1,268 | 378 |
→ ドトールは回復傾向にあるものの、コメダは右肩上がりで成長中!
営業利益の違い
年度 | ドトール営業利益(億円) | コメダ営業利益(億円) |
---|---|---|
2021 | -43 | 8 |
2022 | -17 | 24 |
2023 | 29 | 33 |
→ ドトールは赤字から回復したものの、コメダはずっと黒字!
固定費の違い(販売費および一般管理費)
- ドトール:600~700億円(直営店が多いため固定費が大きい)
- コメダ:100億円前後(フランチャイズ中心のため固定費が小さい)
→ 固定費が少ないコメダの方が、経営が安定しやすい!
まとめ:ドトールとコメダの違い
ドトールが苦戦した理由
✅ オフィス街中心で、コロナ禍で利用者が激減
✅ 直営店が多く、家賃や人件費などの固定費が重い
✅ テイクアウト戦略の遅れ
コメダが好調な理由
✅ 郊外型店舗が多く、リモートワーク需要を獲得
✅ フランチャイズ経営で固定費を抑えて黒字を維持
✅ 広い店内・豊富なメニューで客単価が高い
✅ テイクアウトを強化し、売上を伸ばした
今後、ドトールがオフィス需要の回復とともに再成長できるか、
コメダがさらにフランチャイズ戦略で店舗を増やしていくのかに注目です!