「103万円の壁」と自民党案の123万円案は憲法違反?その可能性を徹底分析

時事ニュース・話題

税制改革の議論が白熱する中、自民党の宮沢氏が提案した「123万円の壁」に注目が集まっています。この案は一見すると国民の手取りを増やす方向に思えますが、果たして憲法に照らし合わせて適切なのでしょうか。本記事では、議論の背景や問題点を詳しく解説します。

103万円の壁から123万円の壁への移行

現行の「103万円の壁」は、所得税が免除される年収の上限として多くの人に知られています。この基準は、以下のように計算されています:

  1. 最低賃金の基準
    最低賃金611円(設定当時) × 7時間(所定労働時間) × 241日(所定労働日数) ≒ 103万円
  2. 憲法第25条の基準
    日本国憲法第25条は「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利を保障しています。この権利を守るため、最低賃金を基に103万円という数字が設定されたとされています。

宮沢氏の提案は、この上限を123万円に引き上げるというものですが、この基準は30年前の物価上昇率を元にしており、現在の実態に即していないとの指摘があります。

123万円案はなぜ憲法違反とされるのか

国民民主党の玉木代表は、「現在の最低賃金に基づくべきだ」と主張しています。彼の計算によれば、現在の最低賃金1055円を基にした年収の基準は以下の通りです:

  • 最低賃金基準の計算
    1055円 × 7時間 × 241日 ≒ 178万円

この結果、最低限度の文化的な生活を営むには、178万円が必要であるとされます。仮に123万円という基準で税を課すとすれば、それは最低賃金を基にした基準を下回り、結果的に憲法第25条で保障された権利を侵害する可能性があると考えられます。

国会での議論の焦点

現在、与党内では123万円案が進められていますが、野党側の反対によって最終決定には至っていません。以下の点が議論の焦点となっています:

  1. 基準の根拠
    123万円案は具体的な根拠が乏しいとされ、現行の経済状況や物価上昇を反映していないと批判されています。
  2. 財源の問題
    最低賃金基準を引き上げる場合、追加的な財源が必要になりますが、これをどのように確保するかについては明確な説明がありません。
  3. 政治的な駆け引き
    野党が178万円案を強く主張し続ければ、与党案の成立が難しくなる可能性があります。一方、与党が野党に妥協を促す動きも見られます。

FAQ

Q. 123万円案は現行の103万円の壁と比べてどう違うのですか?
A. 123万円案では、所得税が免除される年収の上限が20万円引き上げられます。ただし、現在の最低賃金を反映した基準には達していません。

Q. なぜ123万円案が批判されているのですか?
A. 123万円という基準が、憲法第25条で保障された「最低限の文化的生活」を営むための収入を満たしていない可能性があるためです。

Q. 178万円案は実現可能ですか?
A. 178万円案を実現するには、追加的な財源の確保や制度設計の変更が必要ですが、現実的な選択肢として議論されています。

結論

宮沢氏の123万円案は、一見すると国民の手取りを増やす方向に見えますが、憲法第25条との整合性や現在の経済状況を考慮すると、多くの課題を抱えています。これに対し、国民民主党の178万円案はより現実に即した基準であり、最低賃金を基にした政策設計が求められるといえます。

今後もこの議論が国会でどのように展開されるのか、引き続き注目していきましょう。

タイトルとURLをコピーしました